新シーズンのサンウルブズの負けが込んできた場合、「代表メンバーを揃えれば勝てるのに」と言い出す人が出てくると思います。
ワールドカップでの日本代表の活躍を見てから、ラグビーに関心を持つようになった人は特にそうでしょう。
言いたくなる気持ちはわかります。しかしスーパーラグビー(SR)は生易しいリーグではありません。
2018シーズンのサンウルブズには、ワールドカップ2019の日本代表31名のうち、24名がスコッドに入り、代表のヘッドコーチであるジェイミー・ジョセフがチームを率いました。
スコッドに入っていなかったのは、PR木津悠輔、中島イシレリ、HO北出卓也、LOトンプソンルーク、No8アマナキ・レレイ・マフィ、WTBアタアタ・モエアキオラ、FB山中亮平の7名。ワールドカップの主力といえる選手は、ほぼすべてが2018年にプレーしていたわけです。
ジョセフはハイランダーズのヘッドコーチ時代にSRを制したことがあり、このリーグを熟知している指揮官です。
コーチ陣もヘッドコーチ以下、アタック担当のトニー・ブラウン、ディフェンス担当のスコット・ハンセン、スクラム担当の長谷川慎。代表と同じです。
さて、戦績はというと。3勝13敗でした。
さらには、マイケル・リトル、ヘイデン・パーカー、ホセア・サウマキなど代表資格を持たない海外出身者が活躍、クレイグ・ミラー、ヴィリー・ブリッツ、ジェイソン・エメリーなども大いに奮闘したうえでこの成績です。
海外遠征も重ねながら毎週違うチームと対戦し続けるSRは、試合数が限られ対戦相手をじっくり研究して臨む代表の試合とは違う種類の難しさがあります。
選手一人ひとりの地力がより問われるのは、SRだと思います。
トップリーグ終了後に集合していたサンウルブズは、準備期間も他チームより短く、試合のなかでチームビルディングしていくような戦いを強いられていました。
新シーズンも急造チームのサンウルブズはおそらく苦戦が続くと思います。
ワールドカップで日本の活躍を見た人からすれば、物足りなく映るかもしれませんが、タフな分、相当に鍛えられる戦いです。
厳しい戦いのなかでブレイクスルーする若手が一人でも多く出てくるのを期待することも、新シーズンの楽しみかと重います。