ワールドカップ2023 対戦相手の状況

日本代表の対戦相手は、バンド1からイングランド、バンド3からアルゼンチンがまず確定。

バンド4からオセアニア1、バンド5からアメリカ2です。

 

イングランドは、国内のプレミアシップでプレーする選手から代表が選出される状況に変わりはないでしょうが、ここではそれ以外に2023年大会でジャパンと対戦する(可能性がある)チームの代表選手たちのおかれたプレー環境を整理しておきたいと思います。


アルゼンチンは、SRでハグアレスを通じて代表を強化するプロジェクトがコロナ禍で完全に頓挫してしまった格好。


SR2020シーズンの中止後、協会の方針もあって、欧州に移籍する代表クラスの選手が急増しましたが、2021シーズンもSR参戦が不可能になったため、海外移籍の動きがさらに加速しています。
移籍先はフランスのTOP14、イングランドプレミアシップチームが多いものの、豪州のSRチームと契約する選手も複数出てきています。

また、南米各国によるリーグ、スーペルリーガアメリカーナの2021年のフォーマットが発表されています。

こちらのリーグも2020年に始まった直後にコロナ禍で中断してしまったものの、新シーズンはアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイウルグアイから1チームずつが参加する予定です。
SRのようなレベルとはいかないでしょうが、海外移籍しない代表予備軍の選手たちはここでプレーして選手層の底上げを図るものと思われます。今後ここから欧州や南半球のSRチームに移籍する選手も出てくるでしょうね。


2022年以降のSRフォーマットは不明ですが、NZと豪州のチームを中心に構成されることはおそらく間違いないので、ロスプーマス、またそれに近いレベルの選手は海外でプレー、代表予備軍が南米リーグ(あるいはアメリカのMLR)でプレーという流れは続くでしょう。


オセアニア1は、サモアとトンガのホーム&アウェーの対戦での勝者が出場権を得ます。
この太平洋の両国のプレー環境に関するトピックスとして、モアナパシフィカのSR参戦の可能性があげられます。


サモア、トンガ、フィジーなど太平洋諸国にルーツをもつNZベースの選手を集めてチームをつくりSRを戦おうという構想。先日マオリオールブラックスと記念すべき初試合を行いましたが、2022シーズンからの参戦を目指しています。

NZのSRチームは、オールブラックスのセレクションの役割を担っており、オールブラックスになる可能性がない(他国代表を選んでいる)選手はチームのスコッドに入りづらいのが実状のようです。
スコッドから漏れることを懸念して、ルーツをもつ国の代表になることを敬遠している選手が多いのだとしたら、プロフェッショナルでプレーできる受け皿のチームがNZに増えれば、この流れが変わるかもしれません。
仮説に未定を重ねるような話ですが、近年低迷している両国の強化につながるかもしれないこの構想は要注目です。

アメリカ2は、アメリカ、ウルグアイ、カナダの3チームのいずれかが入る可能性が高い枠。


MLRのチーム数拡大、レベル向上の流れにより、アメリカ、カナダ両国の個々の選手の強化は進むと思われます。
MLRの新シーズンは、SR経験者の参戦も多く報じられ、リーグのレベルは着実に向上していくと思われます。


ウルグアイMLRでプレーする選手は多く、また南米リーグの始動によって、アマチュアが多かったこの国もプレー環境が整う選手が多くなっていくと見込まれます。
あるいは、南米リーグで強化されたブラジルやチリあたりが初出場というシナリオもなくはないかもしれません。
いずれにせよ、充実した環境でプレーできる選手が少なかったこのエリアの強化が進む可能性は高いのではないかと思います。

新リーグ構想が停滞しているように思われる日本も無縁ではありませんが、プロリーグが各国に確立しているサッカーなどとは違い、選手のプレー環境によって代表の強化が左右されることが多いのがラグビーの現状。
2023年大会までの2年半、ラグビー界がどのように変化していくかも見逃せません。

 

一方、日本代表はといえば、代表の強化どころか、実戦もこれからという状況。

3月ごろの新型コロナウイルスの世界的拡大以降、今回プールが確定した12チームで代表クラスの選手の大半が代表、クラブ問わず実戦でプレーしていないのは日本だけです。

ワールドカップまではまだ時間的余裕がありますが、個々の選手の実戦経験が止まっている状況なのは心配なところ。


日本の感染拡大の状況を考えるといたしかたないことですが、TLチーム内での感染発生のニュースがいくつか聞こえてきます。練習中から身体を密着させ、大人数が集団で長時間を過ごすラグビーという競技の特性上、感染を0に抑え込むのは難しい。

大学選手権で同大の出場断念というニュースもありましたが、TLも試合の延期、中止という事態も残念ながら念頭に置いておくべきことです。

プレーオフ決勝までの日程をできる限り完全な形で消化すること。
あまり先のことを考えすぎず、目の前のTL新シーズンを無事に終えることに専念すべき状況だと思います。