新リーグに移行するにあたって、企業スポーツから脱却し、世界最高峰リーグを目指していくということは、現在のTLの外国籍選手枠の拡大についても、当然議論されるものと思います。
ここでは、枠の拡大の議論はひとまず置いておいて、従来は日本人選手として扱われていない属性の海外出身選手について、持論を述べてみたいと思います。
まず、一つ目は日本の高校・大学を卒業後、日本でプレーを続ける外国籍の選手です。
TLでは他国での代表歴がない場合は特別枠としての扱いでしたが、高校3年間と大学4年間を経ている時点で、代表の居住資格は満たしており、日本ラグビーを十分理解している選手として、日本人と同等に扱ってよいのではと思っています。
現状も日本で義務教育を修了している場合は日本人扱いですが、中学と高校で線引きする実質的な意味合いは乏しい気がします。
より広義に解釈すれば日本の大学を卒業した選手も同様に扱ってもよいかもしれませんが、育成年代の10代後半を日本で過ごした選手は、ラグビー選手として完全に日本育ちだと思いますので、少なくとも高校・大学の7年間を日本でラグビーをプレーした選手の扱いを変更してはどうか、というのが個人的な感覚です。
≪主な対象者≫
ファウルア・マキシ(クボタ)、テトゥヒ・ロバーツ(Honda)、トニシオ・バイフ(サニックス)
二つ目は、日本代表歴のある特別枠の選手です。
代表強化のために外国籍選手の起用を制限するという方便が今まで存在していたわけですが、すでに資格を取得し、代表でプレーした選手に制約を設ける必要はないと思います。
扱いの捉え方としてざっくり三つあるように考えています。
①すべての日本代表歴のある特別枠選手
②ワールドカップ日本代表に選出された経歴のある選手、あるいは10cap以上の選手
(過去の貢献度で判断)
③直近1年間(ないし2年間)に日本代表に選出された選手
(現在の貢献度で判断)
①が一番間口が広い考え方ですが、過去に1、2試合出場しただけの選手と、継続的に代表に貢献した選手(②)と直近の構想に入っている選手(③)とで、扱いを変えるインセンティブ的なものはあってもよいように思います。
≪主な対象者≫
マレ・サウ(トヨタ)、カーン・ヘスケス(サニックス)、ピーター・ラブスカフニ(クボタ)
長く日本でプレーするうちに、結果的に日本国籍を取得して、上記二つにあてはまらなくなるような選手が多いです。
国籍の取得は家族事情などにもよるので、個々の意思が尊重されるべきですが、ラグビープレイヤーとしては、国籍をもっとオープンに扱ってもよいのではないでしょうか。世界的なリーグを目指したいのであればなおさらです。
最後に三つ目、上記二つは日本代表資格を得られる選手でしたが、こちらはそのままでは15人制の代表資格がない場合。他国の代表(15人制、7人制)の経歴があって、日本国籍を取得した選手です。
元NTTコムのロスアイザックなどが問題提起しましたが、2016年にルール改正があり、2016年8月以前に国籍を取得した選手は他国の代表歴があっても日本人選手として扱われる一方、同年9月以降の取得選手は外国籍選手として扱われる問題です。
日本国が国籍を簡単に取得できる国ではない以上、日本代表の資格がなかったとしても、日本ラグビーに根付くよう努力してきた選手を日本人として扱わない必然性はないでしょう。
ロスアイザックについてはトップイーストの丸和運輸機関で選手兼コーチとして契約したという情報がありました。
この件でほかに該当するのは、リコーのボークコリン雷神とNTTコムのヘンリーブラッキン。いずれもセブンズのオリンピックスコッドに選ばれています。
彼らの問題提起の際、協会からの反応は、今までのルールはルールとして変えられないが今後については検討する、というようなものだったと思いますので、変化があることを期待したいですね。
海外出身の選手はフィジカル的には国産の選手よりも優れる場合が多いとはいえ、ラグビー選手として無条件に秀でているとまでは思いません。
ただ、競争力の高いリーグを目指す以上、日本ラグビーにフィットした選手は自由に起用できるに越したことはなく、起用上の制約は極力減らしていくべきと思います。