トップリーグ2021 第1節 全体所感

TL2021シーズンは観客数は間引いているとはいえ、有観客での開幕にこぎつけました。

開幕延期やプレシーズンマッチの不足も影響したかもしれませんが、開幕節は点差的には大味な展開のゲームが多くなりました。

8試合中、20点差以上の試合が5、そのうち30点差以上が3です。

 

さて、各試合の感想です。

 

ほかの試合よりも1時間早かった、NTTコムとHondaの一戦。

初戦を勝利したNTTコムは、TLデビューのSHレイドローはゲーム全体を俯瞰しているような貫禄があり、さすがの存在感を発揮。

同じくデビューのFLギルとSOスミスも安定した実力を見せてくれそう。

10の位置はリアリーファノが入ることもあるかもしれませんが、いずれにせよSOは実力者が入りますので、9-10のラインが安定してこのチームが志向する展開ラグビーがより機能するような予感がありますね。

Hondaは、NTTコムがシンビンで一人退出していた時間帯に逆にスコアされたのが痛かったですね。

メンバー編成上の問題はあったと思いますが、もう少し強いランナーを配置しないと、スコアチャンスはつくれないような気がします。

 

秩父宮での、パナソニックとリコー。

強風の影響もあったのか、ハンドリングエラーなどの細かいミスが特に序盤に目立ちました。

リコーは序盤のマイボールラインアウトが確保できていれば、もう少し違った展開になったように思います。

CTBトマネは攻守に存在感を発揮し、キープレイヤーになりそう。SOに入ったアイザック・ルーカスはアタックのアイディアがある選手なので、周囲との連係が成熟してくれば、このチームのアタックは一段階上がるような気がしますね。

パナソニックは、序盤にミスはありましたが、選手は代わっても堅守からのカウンターというスタイルは変わらないので、チームはある程度の完成度になっているように思いました。

 

クボタとサニックス

クボタのフィジカルなプレースタイルは従来から変わりませんが、パワーと機動力を兼ね揃え、相手の隙を突くのも巧みなHOマークスが加わったので、相手にとってはより脅威になりそうですね。

サニックスは途中までは圧力に耐えていましたが、中盤から失点を重ねて結果的に点差が開きました。相手の圧力を感じていたがゆえにペナルティを重ねてしまったと思いますが、ディシプリンの部分は再度見直したいところ。

ワイドなアタックは機能していたので、接戦に持ち込めればほかの試合では勝機もあると思います。

 

トヨタ東芝はスコア的には接戦になりましたが、終始トヨタのペースではあったように思います。フーパーのデビュー後、何となく試合全体の雰囲気が浮ついて、ディフェンスが緩くなったような感じはしましたが。

やはり、フーパーとキアラン・リードを並べるというよりは、FBルルーとどちらかという起用がチームの安定という意味ではよいような気がします。

東芝はリーチやトッド、ベイトマンとタマニバルのCTBの個人的な奮闘はありましたが、攻撃の推進力が今一つだったような気がします。

ラベマイはスタートから起用した方が相手への圧という意味ではよいのではないかと。

 

花園で行われた、神戸製鋼NEC

一方的な試合を予想していたものの、以外といえば失礼ですが競った試合展開になりました。

神戸製鋼も試合勘が乏しいなかでの初戦なので細かいミスも多かったですが、それ以上にNECの出来がよかったと思います。

この試合に照準を絞ってきたかのような、フィットネスがありました。

CTBネマニやNo8ラムなど、強いランナーが直線的に突っ込んでいくプレーは随所で利いていました。SH中嶋の早い捌きもよかったですね。

SOグッドもまだ本領発揮とまではいっていないでしょうが、チームとして連動するアタックもあり、期待を抱かせてくれる内容でした。ただ、選手層が厚いチームではないので、シーズン途中で燃え尽きてしまわないか、やや心配ではありますが。

 

両者とも指揮官が代わったキヤノンNTTドコモの一戦。

結果的には、ドコモが序盤のペナルティを重ねた時間帯の失点を乗り切ったのが大きかったと思います。

絶大な存在感を発揮していた、新加入のSHペレナラ。一瞬の隙も見逃してくれない、相手にとっては脅威の存在ですね。

ドコモはセットピースの出来もよくなかったですが、この内容でも勝てたのは大きかったと思います。ペレナラの存在に引っ張られて、試合を重ねるごとにチーム力を上げていきそうな気配が漂っています。

キヤノンも勝てそうな試合を落としましたが、チームのまとまりは昨シーズンよりはあると思います。

ただ、アタックがWTBサウマキなど、強いランナー頼みな感じもしたので、チームとしての連動を増やさないと、スコアチャンスはものにできないような気もしました。

 

三菱重工サントリー

三菱重工はCTBリトルがトライの直後に負傷交代し、代わったウィルソンもすぐに負傷してしまったのは想定外だったとは思いますが、受けに回ってしまっていたような感がありました。

もう少し工夫ができたのではないかと思いますし、ここまでのスコアがつく実力差ではなかったと思います。

サントリーはこの試合に関しては気持ちよくプレーできたでしょうが、よりフィジカルな部分を前面に出してくるチームに対して同じようなアタックができるかが優勝への鍵となってきそうな気がします。

 

最後に、花園の日野とヤマハの一戦。

日野は試合序盤の本人のファーストプレーでCTBデブラシーニが負傷交代。股関節の怪我のようだったので、長引きそうで心配です。

そのアクシデントがあった割にはよく戦ったと思いますが、中盤以降に一瞬の隙でトライを取り切られるシーンが多くなり、点差は開きました。

いいアタックができていた時間帯もあり、スコアほどの差は感じていないのではないでしょうか。

一方のヤマハもHO日野が序盤で負傷交代。アキレス腱のようだったのでシーズン中の復帰は無理かもしれません。

試合自体は、前半はスコアリングに苦戦したものの、アタックはよくボールが動き、機能していました。

中心となるべきFBグリーンやFLクワッガ・スミスの動きも軽快で、新戦力の若いLOヒュートレルもハットトリックするなど、初戦としてはよい出来だったと思います。

 

今シーズンはプレシーズンマッチの不足で、例年以上に実戦を重ねながらチームの精度を上げていく要素がどうしても強くなると思います。

何人か怪我の状況を書きましたが、実戦不足も影響したのか、各試合での負傷交代がかなり多かった印象があります。

TL最後のシーズンはコンディション的には難しい状況になりましたが、極力怪我人を出さずにシーズンを戦い切ってくれることを願います。