トップリーグ2021 プレーオフトーナメント一回戦 全体所感

プレーオフトーナメント一回戦は、やはり戦前の予想のとおり、TLとTCLの試合の強度の差が微妙なところで勝敗を分けたように思います。

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雨の瑞穂ラグビー場豊田自動織機NECの試合。

織機はかなり余裕をもった戦いでTCLを首位で終えていました。雨でボールを回しにくい事情もあったと思いますが、アタックがやや単調で、今までのリーグ戦で簡単にスコアできていたことが災いしたような感じがしますね。前半にNECを自陣に押し込んだシーンでは、FWの突進だけでなく、もう少しサイドへの展開を混ぜたらトライは増えたような気がします。

地力は織機の方があったように思いますが、キックオフリターンの処理のミスで2回簡単にトライを失ったのがもったいなかったですね。

NECは序盤に幸先よくスコアしてからは、ペナルティも多くなり、押されるシーンが増えましたが、粘りのあるディフェンスを見せました。ペナルティが重なった時間帯で警告が出ていれば、試合の展開は変わったように思います。雨で攻守に身体を張るシーンが多くなったなかで、負傷していたLOジェフリーズが戻っていたのは大きかったですね。

 

こちらも雨の花園、三菱重工コカ・コーラ

ボールが展開できる天候であれば、重工が優勢に試合を進められたかもしれませんが、雨で単調なアタック以外はしづらかったこともあって、コーラのディフェンスも的が絞りやすくなりましたね。コーラは序盤にモールから簡単に2回トライされ、大差の試合となる心配もありましたが、途中からよく修正しました。

こういう悪天候の試合では、キック力のある選手がいると陣地を挽回できて有利です。重工はウィルソンがSOに入っていてよかったように思いますね。CTBリトルは一瞬の隙を見逃さない質の高さを見せました。

 

一方、天候に恵まれた秩父宮サニックス近鉄の試合。TCL勢が唯一TLチームを破った試合になりました。

サニックスは、怪我人も多くて選手起用の難しさもあった思いますが、BKの守りがちょっとアンバランスな感じがありましたね。活動縮小の報道の影響も少なからずあったかもしれません。

近鉄はTLとTCLの試合強度の違いか、サニックスのアタックに差し込まれるシーンもありましたが粘ったディフェンスを見せました。後半に勝利が見えてきてからは、ディフェンスも集中して前に出られるようになりました。SHゲニアも後半になってキックを織り交ぜるなど、名手のよさが出てきました。戦力も近鉄の方が厚みがありましたかね。

 

もう一試合は、雨が降ったり、晴れたり、目まぐるしく天候が変わるなかで行われました。日野とTCL4位の清水建設の試合。

一番戦力差がある試合かと思っていましたが、清水建設は元東芝のFBバンワイクの活躍などで、前半はリードしました。2020シーズンのサンウルブズのメンバー、SOエイプリルは先制のトライにつながるキックパスなど、好プレーもありましたが、後半にキックを立て続けにチャージされる軽いプレーで、勢いを相手に渡してしまったのが残念でしたね。

日野は反省材料も多い試合だったでしょうが、なんとか勝ち切りました。

判定がやや疑わしいと思われるシーンも多い試合でした。後半26分、清水建設のディフェンスがボールのうえに手を差し入れたように見えたSHプルのトライの場面で、解説の大西氏の、日野の選手があまり喜んでいませんね、とか、トライの判定に日野の選手が一番驚いていましたね、といったコメントには笑えました。

このシーンが実際どうだったかはTMOの映像でもはっきりしなかったのでわかりませんが、サッカーなどでも言われるように、審判は自分ではっきりと見えていない状況では、現場の選手たちの反応に注意を払う習慣があってもよいように思いますね。審判をやったこともないのに偉そうなことを言うようですが。

 

コロナの事情で開幕が遅れたため、当初予定されていたTCL上位4チームが参加するセカンドステージのリーグ戦はなくなりました。一発勝負ではなく、リーグ戦でTL勢と複数回身体を合わせる機会があったならば、ちょっと違う結果になっていた可能性もあるので、そこは残念ですね。

 

今シーズンの戦績だけで新リーグのディビジョン分けが決まるわけではないものの、現実的にはこの4試合に出場したチームの多くは、ディビジョン2に組み込まれる可能性が高いように思います。

サニックスに関する報道があるように、新リーグで各チームの陣容がどのように変わるかわかりませんし、外国籍選手の起用ルールなどもどうなるかわかりませんが、各チームの戦力が今シーズン並ぐらいだとすると、ディビジョン2が一番戦力差が少なく、クロスゲームが多くなるような気がしますね。