ディビジョン1 現有戦力分析(10月1日時点)
10月に入り、新リーグ"ジャパンラグビーリーグワン"の来年1月7日の開幕まであと3ヶ月ほどになりました。
新装開店の最初のシーズンということもあってか、各チームの戦力を整える準備も例年よりも早く進んでいるような印象があり、補強がすでに完了したのではと思えるチームも多くなってきました。
7月20日、ディビジョン1の12チームの現有戦力の分析と補強ポイントに関する記事を書きました。
以下に、その時点の私見による補強ポイントを再掲し、その進捗度合いなどの振り返りをしてみます。
なお、7月20日以降に入団・退団の情報が発表されたチームは当時の記事に加筆していますので、当該記事もあわせてご覧いただければ幸いです。
筆者が補強はほぼ完了であろうと判定したチームは「完了」、若干物足りなさも残るが完了かもしれないチームは「完了?」、今後も新加入発表があるであろうチームは「未了」と記しました。
引退したWTB福岡の存在は大きいものの、その時点でCTB/WTBのアソの加入が発表されており、得点力はある程度何とかなりそうという意味で補強は「特になし」としていましたが、その後に現役ワラビーズのWTBコロインベテの加入も発表されました。戦力としては十分でしょうね。
彼の方がよりパワフルなランナーで、一瞬の加速で抜き切る福岡とタイプは違いますが、大きな怪我がなければトライを量産することは間違いないでしょう。
現役オールブラックスの有名選手の加入が報道されましたが、報道どおり加入すればSOとFBのどちらで起用されるか注目されます。
以前の記事では、速さや巧さはあるがパワーがあるBKが少ないと書きました。加入した森谷は技術のあるBKのユーティリティーですが、パワーがあるタイプではないですね。
(某有名選手が加入するとして)在籍選手が100%起用できるのであれば優勝候補と言ってよい戦力ですが、選手層の厚さや選択肢はワイルドナイツやスティーラーズにやや分がありそうです。
トヨタヴェルブリッツ
(当時)【補強ポジション】LO / FL・No8 / FB ⇒ 完了?
LOにトゥイプロトゥ、二列目も三列目もできるデュトイという、現在獲得できそうな選手としては最高レベルの選手が加入します。
また、CTBが本職ですがFBもカバーできる2019年RWCの日本代表トゥポウが加入し、BKの層は厚くなりました。
サンゴリアス同様、MAXの戦力が揃えば優勝争いできそうですが、ポジションによっては決して戦力が厚くないところもあるように感じますね。特にHO専門が3名というのはやや不安かと思います。
今のところ補強の動きが少ないチーム。
FWは元々層が厚いうえにヘルウヴェが加わるので強力ですが、BKは主戦力に怪我や出場停止が出た場合、ほかの上位候補のチームよりは層が薄い印象があります。
また、主力が昨シーズンからほぼそのままということであれば、他チームに戦い方を対策されやすいような懸念もあるような気がします。
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
(当時)【補強ポジション】SH / SO / WTB / FB ⇒ 完了?
現状の陣容は、昨シーズンにペレナラ、マピンピが在籍していたことを考えれば、若干物足りない感じもありますが、トータルでいえば戦力は上回っていると思います。
選手層もかなり厚くなったように感じますが、上位争いに加わりたいのであれば、経験値が高い選手をもう少し足したいようには思いますね。
コベルコ神戸スティーラーズ
(当時)【補強ポジション】FL(LO) ⇒ 完了
現状でも十分な戦力だが足すとすればサイズのあるFL兼LOのような選手、と以前の記事で書きましたが、NZ人のカウリートゥイオティはまさにそのような選手。さらに南アの2m超のLOシカリングも加入しますので、前者はバックローが主戦場だと思いますが、二列目、三列目はかなり分厚くなりました。
昨シーズンは怪我人も多くてベストメンバーが組めず、戦い方が安定しなかったような印象ですが、戦力的には優勝候補の一角だと思います。
以前に記事を書いたときは、補強は必須でもないような気もしていましたが、LOストーバークなどの加入で選択肢が豊富になりました。知名度の高い選手は多くないですが、人材に不足感のあるポジションはほぼなくなった感があります。
FWもBKも色々な組み合わせが考えられると思いますので、開幕までにベストなメンバー、戦い方を見極めたいところです。
以前に「特にLOは大型選手が2枚は必要なような気がします」と書き、その後にヒルとモリが加入しましたので、その方向性で補強はできていると思います。
BKは加入もありましたが、SH田中が抜けたりもしているのでプラスマイナスはトントンに近いかなあというところ。
ほかのチームの戦力と比べて、現状でも特に見劣りするとは思いませんが、際立ったストロングポイントも感じず、チーム状態によって上半分にも下半分にもなりうるという印象です。
TL経験のある3選手(FLイラウア、CTBスワート、WTBファリア)に、ワラビーズ経験のあるNo8ナイサラニが加入。不足感のあったポジションは最低限補強した印象を受けます。
ただ、FWは全体的にサイズがあるわけではなく、リーグ全体のFW戦力も向上していると思いますので、サイズだけの問題ではないとはいえ、スクラムに強みを見出していたヤマハ時代とは考え方を切り替えた方がよいような気はします。
シャイニングアークス東京ベイ浦安(NTTコム)
(当時)【補強ポジション】PR ⇒ 完了?
選手名簿を見る限り、選手層はそれなりに整ったとは思いますが、選手の出入りが多すぎてどのようなチームができあがるかが不透明ですので、自分たちの強みを出せるスタイルを早く見つけることが上位進出の鍵になるでしょうね。そのあたり出戻りのロブ・ペニーHCは日本の経験があるためうまくやりそうな期待感はあります。
PRはちょっと枚数を足さないと怪我が多いポジションなのでシーズンを乗り切れない懸念があります。
東芝ブレイブルーパス東京
(当時)【補強ポジション】LO / FL・No8 / SO / FB ⇒ 完了?
今のところ補強の動きがないですが、正直なところ現状の選手層は下から数えた方が早いかなという印象。成長が期待できそうな若手はいますが、特にFWはサイズとパワーのある選手を2枚ぐらいは足さないと、長期化したシーズンを乗り切れないような気はします。
グリーンロケッツ東葛(NEC)
(当時)【補強ポジション】HO / LO / FL・No8 / SO / CTB / FB ⇒ 未了
意図的に少しずつ新加入選手を発表するスタイルを採っていますが、順調に補強は進んでいるように思います。あと4、5名は新加入がいるようですので、最終的にはかなり穴が少ない布陣になるように思われます。
経験値の高いベテランを新たなコーチ陣が活かせるかがかつての名門復活のポイントになりますね。
冒頭にも書きましたが、まだ開幕まで3ヶ月ありますので、少なからず新加入の動きはあるかと思います。
引き続きウォッチしていきます。