ジャパンラグビーリーグワン 2022年シーズン開催会場について②

ディビジョン2と3の具体的な日程、会場は以下のとおりです。

https://league-one.jp/news/wp-content/uploads/2021/10/JAPAN-RUGBY-LEAGUE-ONE-2022-D2.pdf

https://league-one.jp/news/wp-content/uploads/2021/10/JAPAN-RUGBY-LEAGUE-ONE-2022-D3.pdf

両方とも、6チーム総当たり×2回戦でホストゲームが5試合というつくりになっています。

ディビジョン1と同様に、ホスト会場の内訳を分析してみます。

 

まずは、ディビジョン2。

 

三菱重工相模原ダイナボアーズ

秩父宮:1試合、ギオン:3試合、未定:1試合

相模原市にあるギオンスタジアムがメインであることは間違いないですが、より広範囲から集客しやすい秩父宮も活用するということではないかと思います。

 

三重ホンダヒート

鈴鹿:5試合

鈴鹿一択というわかりやすい結果です。TL時代からよく使われている会場ですので、ホーム感はすでに十分かと思います。公共交通機関のアクセスが良い立地ではないので、ホストゲームを確実に埋めていけるかどうかが課題になりますね。

 

日野レッドドルフィンズ

秩父宮:2試合、上柚木公園陸上:1試合、武蔵野陸上:1試合、東京都内:1試合

スタジアム事情が厳しい多摩エリアのチームとして苦戦が感じられるやりくりです。会場となる二つの陸上競技場はTLではあまりなじみがないですが、上柚木公園は八王子市で京王相模原線の南大沢駅が最寄、もう一方は武蔵野市にあって西武新宿線JR中央線の間にあるような立地です。両会場ともアクセスが良いとも、ラグビーが見やすいとも言い難いですね。

 

花園近鉄ライナーズ

花園:5試合

ヒートと同様、こちらもわかりやすい結果です。ほかの会場でわざわざ行う必要もないとも言えます。アクセスも良く、周辺人口もほかのチームよりはかなり多いため、間違いなくほかのチームよりは集客しやすいはずで、収益も見込みやすいはずです。

 

釜石シーウェイブスRFC

秩父宮:1試合、釜石:4試合

2019年RWCの会場にもなった釜石鵜住居復興スタジアムですべてまかなえそうですが、秩父宮がなぜか1試合入っています。今後を見越した広報のためでしょうかね。この試合に当たったスカイアクティブズとしては釜石に行くよりは移動がしやすくてラッキーだとは思いますが。

 

マツダスカイアクティブズ広島

バルコムS:4試合、広島市内:1試合

バルコムというのは広島市BMWのディーラーがネーミングライツを取得していることによるもので、広島県総合グランドのことです。Sがメインスタジアムで収容人員15,409人、Rは収容人員1,100人のラグビー場です。広島市でほかに会場の選択肢はないように思いますので、広島市内とあるのもこのどちらかが会場で間違いないでしょう。

 

続いてディビジョン3。

 

宗像サニックスブルース

ミクニ:1試合、グローバル:2試合、本城陸上:1試合、未定:1試合

未定となっているのは会場だけでなく唯一日程も未定となっています。本城陸上競技場北九州市八幡西区にあります。このチームは自前のグローバルアリーナでまかなえそうですが、本拠の宗像市から東方の北九州エリアにファン層を拡大していきたい狙いがあるのかもしれませんね。

 

豊田自動織機シャトルズ愛知

刈谷:2試合、瑞穂:3試合

アクセスが良好かつ専用球技場でゲームが見やすい瑞穂ラグビー場で3試合行い、母体企業が立地する刈谷市にあるウェーブスタジアム刈谷陸上競技場)でも2試合行うという、狙いとしてはわかりやすい組み合わせです。

 

清水建設江東ブルーシャークス

夢の島:4試合、東京都内:1試合

夢の島陸上競技場がメインということは開示していますので順当です。残りの1試合もおそらく調整中なのだと思われます。

 

クリタウォーターガッシュ昭島

AGFフィールド:1試合、荻野陸上:1試合、東京都内:1試合、未定:2試合

全24チームのなかで一番やりくりに苦戦している印象のチーム。東京都内となっている1試合を含めて3試合の会場が確定していません。

AGFフィールドは味スタ隣接の陸上競技場、荻野陸上競技場はかつて厚木に練習拠点があったときの名残だと思われますが厚木市にあります。多摩エリアのチームはどこも苦労している印象ですが、1月の開催ゲームの会場が未定というのはいかにも苦しい感じがします。

 

九州電力キューデンヴォルテクス

ベスト:2試合、博多の森陸上:1試合、白波:1試合、えがお:1試合

会場が4箇所に分散していますが、狙いは何となく伝わってきます。専用球技場のベスト電器スタジアムがファーストチョイスで、使えない日は同じ公園内の博多の森陸上競技場を使う。九州エリアの電力会社として鹿児島の白波スタジアム、熊本のえがお健康スタジアムでも試合を行う。
鹿児島や熊本には九州電力の従業員等の関係者も多いでしょうし、福岡から新幹線等で観戦に出かける楽しみもあるでしょう。普及活動の点でも意義がありそうです。

 

中国電力レッドレグリオンズ

みらいふ:1試合、バルコムR:2試合、広島市内:2試合

維新みらいふスタジアムはTLの開催実績も多い山口市陸上競技場。狙いとしては九電に近いと思われます。バルコムは広島県総合グランドのうちのラグビー場の方です。集客力のことを考えてメインスタジアムの方を使わなかったように思いますが、広島市内となっている2試合は総合グランドのどちらかで間違いないと思われます。

 

ふたを開けてみれば、想像以上に秩父宮開催が多かったという印象です。ディビジョン1だけでも20試合。

谷口氏が準備室長のときに、「秩父宮で開催すること自体は構わないが特定のチームのホーム扱いにはしない」というような趣旨のことをインタビューで発言しており、その理屈は継承されているのだろうと思いますが、現実的には複数のチームがかなり依存した状態ですね。

東京エリアのスタジアム事情の難しさを表しています。また、首都圏にチームが集中している弊害も表れていますね。

 

リーグ新設時の考え方では、ホスト会場の確保は当初3年間は新リーグ参加の必須要件にしないというものだったはずですが、2025年シーズン以降は果たしてどうなるのか。

そう遠くないうちに秩父宮の改修工事も始まると思われ、早い場合2023年シーズンから秩父宮に頼れなくなるはずです。

 

チームの採算化のためには、ホストゲームを質量ともに充実させていくことはマストですので、スタジアムの件は日本ラグビー界の継続的な課題です。

新リーグ開幕にあたってチームの代表等に就任した複数のプロ経営者が発言していますが、リーグの開催試合数自体を増やすこともいずれ議論の対象になっていくはずです。

 

専用的に使えるスタジアムがあるエリアにチームを移転させることは一つの解決策ですが、社員選手が多いチームにとっては拠点丸ごとの移転はハードルが高い。

練習拠点は動かさないまでも、サブ的なホストエリアを設けて試合を開催するという次善の策が、今後より活発に議論されていくような気はします。