オーストラリア戦 試合所感
10月23日に行われた日本代表と豪州代表ワラビーズの試合は、23対32でワラビーズが勝利しました。
スクラムやラインアウトなどのセットピースが終始劣勢で、ワラビーズの単騎のシンプルなアタックでもかなり差し込まれるなど、試合の局面をみた印象からすれば、よくこの点差で終わったなというのが正直な感想です。
もちろん展開によってはジャパンが勝利したシナリオはありえるし、そういう見方があるのはわかります。ただ、プレーの一つひとつを見ればやはり地力の差は感じたし、勝利の臭いはあまり漂わない試合だったと思います。
ジャパンが粘り強く戦ったとも言えますし、ワラビーズのミスが多かったからとも言えると思いますが、7月のライオンズやアイルランドとの試合の後も同じような印象を持ちました。
ティア1クラスのチームに大差で負けるようなレベルは脱却したが勝ち切るところまでは届いていない。ジャパンの現在地はこのようなところなのでしょうね。
私はJスポーツで試合を見ていて、藤島氏だったか村上氏だったか解説のどなたかが、「セットピースがワールドカップのときのレベルまで精度を高められれば、もっといい試合ができる」というような趣旨のコメントをしていました。
ジャパンの消化した試合がワラビーズよりも少なく、試合勘の問題があったと思われるのは事実ですが、その分肉体の疲労も少なく、直前の約一ヶ月間代表の活動に集中できていてフィットネスでは有利だったという事実もまた無視すべきでないと思います。
日本はリーグ戦の期間も短く、代表の活動に時間を割きやすいのが他国と比べて優位な点ではあるものの、2019年のときはホスト国であったから代表選手が所属チームを離れて数ヶ月合宿参加することも許容されたのであり、代表活動を聖域化した強化を前提にしたような発言は、日本ラグビーの中長期的な発展を考えると好ましくないように感じます。
準備に関してたらればを言うのではなく、リーグ戦の強度を高めて、正攻法で強い選手を育成する方向に進んでほしいと思います。
本日遠征メンバーが発表されましたが、こののち、ジャパンは渡欧して、アイルランド、ポルトガル、スコットランドとの試合に臨みます。
試合を重ねるうちにセットピースやプレーの連係などの精度は高まることが期待できますが、その分疲労でフィットネスは落ちてくると思われますので、そのバランスを保って競った勝負ができるかが注目されると思います。
また、固定メンバーではなくできる限り多くの選手を起用して、スコッドの厚みをもたせるのも重要な課題でしょうね。