チャリティーマッチに際し、代表強化について思うこと

昨日、TONGA SAMURAI XVとEMERGING BLOSSOMSとのチャリティーマッチに関して、EMERGING BLOSSOMSの選手選考が当初の位置づけから変容しているのでは、という趣旨の文章を書きました。

 

好意的に解釈すれば、トンガへの日本ラグビー界の連帯の想いを示すためできる限りのベストメンバーを用意して試合に臨む、ということになろうかと思います。

実際にそういう要素が大きいでしょうが、チャリティーマッチが本来の目的の試合にもかかわらず、日本代表に向けた生き残り的な要素が前面に出すぎているように感じます。試合への興味という意味では致し方ないところもあるでしょうが。

 

このチャリティーマッチ自体は有意義だと思います。

しかし、トンガチームはこの試合のための急造チームであって、情熱をもって全力でプレーするのは間違いないにしろ、一週間の練習では練度を期待するには無理があります。

チャリティーマッチであるべき試合に対して、代表の底上げ、セレクションをあてはめようとするのは無理筋であって、代表強化にはしかるべき試合を用意するべきです。

 

2023ワールドカップのプールDで顔を合わせるアルゼンチン。

この7月に以下のようなマッチメイクをしています。

 

【アルゼンチン代表】

7月2日 VSスコットランド

7月9日 VSスコットランド

7月16日 VSスコットランド

※いずれもホームゲーム(アルゼンチン国内)

 

【アルゼンチンVX(A代表)】

7月3日 VSジョージア

7月9日 VSポルトガル

※いずれもアウェーゲーム

 

コロナ後はじめて国内開催する代表の試合ということも重要ですが、アルゼンチン国内とヨーロッパでの同時期開催ということも注目に値します。

アルゼンチンVXの試合はテストマッチ認定ではありませんが、ジョージアはワールドカップの常連で2023も出場を決めていますし、ポルトガルは2023の出場は逃したものの昨秋ジャパンも苦戦したチーム。いずれも簡単な相手ではありません。

 

今回のアルゼンチンVXのスコッドには、ワールドカップ出場経験のあるような選手も含まれていることも注目されているようです。

代表に帯同させて出場機会が限られるというよりは、出場機会を提供してフェアな競争を促すという意味もあるのでしょう。

 

アルゼンチンの方がワールドカップの戦績は上ですが、ジャパンとは一発勝負であれば勝敗の行方はわからない程度の実力差と思います。

しかし、現状のジャパンにはこのようなダブルオペレーションに耐えられるほどの選手層はないでしょうから、このあたりのラグビーに関する国力差は明白です。

 

今回日本代表はウルグアイ代表を迎えて2試合行いますが、もう一段上のレベルを目指すのであれば、ティア1のチームと代表の試合を組みつつ、NDSを編成して南米に遠征するぐらいのことはしていかなければいけないでしょう。

 

昨年のサンウルブズとの試合も今回のチャリティーマッチも興行としてはよいと思いますが、代表強化のためには別の仕掛けが必要な段階に来ているように思います。