リーグワン振り返り サラリーキャップ制度の導入について

現状はサラリーキャップ制度は導入されていませんが、開幕前の谷口準備室長の時代には要検討事項にあがっていました。
日本ではそれほどなじみがないものの、リーグ戦の各チームの戦力の均衡を図るためには有力な手段の一つと考えられます。

ほかのスポーツでももちろんチーム間の戦力均衡は重要な要素ですが、ラグビーはちょっとした戦力差が大きなスコアの差に結びつくことが多いので、リーグの価値を保つには優先的に検討すべき案件のはずでした。
しかし、結局リーグワンはサラリーキャップを導入しないまま開幕と相成りました。

先日も別のところで書きましたが、このリーグが採用した外国籍選手の起用ルールは、そのまま放置すると大きな戦力格差を産み出しかねません。
競った展開の試合が少ないようだと飽きられてしまい(すでにそうかもしれませんが)、従来のコアなラグビーファン以外に新たなファン層をつくり出すことは難しいように思います。

日本ラグビー界でサラリーキャップ制度を導入するうえで課題になりそうなのが社員選手の存在です。
プロラグビーを目指すといいながらも、選手層を厚く持つ必要がある競技の特性、チームの収支構造を考えると、今後改善が図られるにしても、母体企業に籍を持つ社員選手は一定数は残るでしょう。

サラリーキャップで報酬総額を考える際、社員選手の実際の給与額をベースにしても意味が乏しいように思います。
会社員としては新入社員だがラグビー選手としては超一流、ということは十分にありうるからです。

社員選手というものがほぼ日本にしか存在しないもののためほかに事例を求めることも難しいですが、社員選手に関しては給与額でなくラグビー選手としての価値を別に算定するほかないのかなと思います。
試合に出場した時間や、各種スタッツ(得点やトライ数はもちろん、ランメーターやタックル数など)を参考に、プロ選手として換算するといくらの報酬に該当するかという指針を持つ必要があります。
新卒選手であれば大学(あるいは高校)時代の成績ということになりますね。プレーした環境のレベルにもよるので悩ましいところですが。

今まで存在しないことなので色々と試行錯誤していく必要があるでしょう。
しかし本当に競争力のあるリーグに育てていくには避けられないことだろうと個人的には思います。

日本ラグビーは、海外に比べてスタッツの情報が乏しいように思いますが、プレーヤーを客観的に評価するためには客観的な物差しがより重要になってくるでしょう。単なる印象だけではなくて。
 
社員選手の登録制限などもいずれは必要になるのではないかと思います。
大学の有力選手が一部のチームに集中してしまう傾向もどうにかしないとリーグは活性化しません。結局は就職だから有利なチーム(企業)に行くのは個人としては合理的な判断なのですが、そこを仕組みによって変えていかないと、リーグの健全な発展は望めませんね。 
 
リーグワン最初のシーズンの個人的な振り返りとして、リーグのレベルの問題、アジア枠に関する問題、サラリーキャップの問題と書いてきました。
後日、リーグ周りの運営に関することも整理してみたいと思います。