ワールドカップ2019との準備環境の違いについて

2019年WCの準々決勝で南アフリカに敗れて日本代表の大会が終わったのが3年前の10月20日だったわけですが、ここで3年前と11ヶ月後の日本代表に関する環境の違いについて整理してみます。

筆者が考える違いは、大きく分けて以下の三点。
① ホームのアドバンテージ
② 代表活動に集中できる環境
③ SR日本チームの存在

一番大きいと思われるのは①で、大会直前に大きな移動をせず同じ環境でじっくりトレーニングできること、試合中大きな声援を受けられることのアドバンテージは言うまでもありません。
ただ、ホスト国ならではの特権は通常のことではないので、よりラグビーに直結した②と③についてここでは言及します。

スケジュールについて言うと、今年の秋のテストマッチから来年にかけて決まっている日程は以下のとおりです。

10月29日  対ニュージーランド(国内)
11月20日  対イングランド(国外)
11月20日  対フランス(国外)

12月17日~5月20日  リーグワン2022-23
9月8日~10月28日   ラグビーワールドカップフランス2023


一方、4年前の同じ時期からテストマッチと大会に関しての日程は以下のとおり。奇しくも最初の2試合は同じ組み合わせですが。

11月3日   対ニュージーランド(国内)
11月17日  対イングランド(国外)
11月24日  対ロシア(国外)

7月27日   対フィジー(国内)
8月3日    対トンガ(国内)
8月10日   対アメリカ(国外)
9月6日    対南アフリカ(国内)

9月20日~11月2日  ラグビーワールドカップ日本2019


このときは国内リーグはお休み。2019年の2月から代表選手は代表活動に集中することができていました。
ホスト国だからかろうじて許容された施策だと思います。

4年前はSRにサンウルブズが参戦していたことも現在と大きく異なる点です。

サンウルブズでプレーして調子がよさそうな選手を代表合宿に呼び、代表候補の選手を試合勘の調整のためサンウルブズでプレーさせるというようなことを2019シーズンにはやっていました。
強度の高い、インターナショナルレベルのラグビーを並行してプレーできたのは代表強化にとって大きかったと思います。

しかし、経済的なメリットをサンウルブズがあまり示せなかったことは別としても、SRからすれば本気度が疑われる、舐めた姿勢(リーグ第一でない姿勢)でリーグに参加していたように感じられたのも、サンウルブズが5年で外された一因なのではないかという気はしていますが。
 
4年前の7月、8月のテストマッチはパシフィックネイションズカップの試合。
参加チームや時期は未定なものの、おそらく同じような時期に開催すると思われますので、そこが貴重な調整の機会になると思います。数も同じく3試合ぐらいなのではないかと。
前回はWCが控えていたため真夏の日本に来てくれたという事情もあるでしょうから、今度国内の試合が行われるかどうかはまだわかりません。国内開催の壮行試合的なものがゼロではないと思いますが、国外での試合が増えるような気はしています。
 
大会前に欧州で1、2試合ぐらい試合を組むと思いますが、それは本当の事前調整試合。
 
国内で半年間ほどリーグ戦が行われるので試合勘の問題はないとしても、強度の面で国内の試合とテストマッチではかなりの開きがあるのが実情。
国内リーグ終了後に代表合宿が行われると思いますが、パシフィックネイションズカップとその合宿では、テストマッチの感覚を取り戻すのと今まで積み上げてきたことの復習と微修正ぐらいしかできないだろうと思います。
 
つまり、この秋のテストマッチで到達したぐらいのことしか来年のWCでもできないだろう、ということです。
11ヶ月ほどまだ本番まで時間はあるものの、その点が2019年大会との大きな違いです。
 
まあ、本来これが当たり前の環境のはずですので、日本ラグビーの真価が問われます。
国内リーグ中に代表合宿を行うようなことは、国内リーグの軽視につながるので、中長期的に考えると愚策だと思います。
 
まだテストマッチが3試合残されているので何とも言えませんが、オーストラリアAとの3連戦を終えた時点のチームの完成度で考えるとなかなか苦しい状況ではないか、というのが先日も書いた感想です。
そんなことは素人が言わずともコーチ陣はわかっているはずですので、残りの試合の使い方が注目されます。