フランス代表戦 試合所感

11月20日にフランスのトゥールーズで行われたフランス代表と日本代表のテストマッチは、35対17でフランス代表が勝利しました。
日本代表の秋のテストマッチはNZ、イングランドとの敗戦に続き3戦全敗で終わりました。

相手が強かった、いい勉強になった、以上のコメントが求められる、などと以前に書きましたが、結局そんな雰囲気のものが多くなりました。
結果が出せなくて悔しい、というような趣旨のものもありますが。
https://www.rugby-japan.jp/news/51652

まぁ、強い相手とテストマッチを組んだ時点で予想ができたことではあります。

フランスは、SOンタマックがやや不出来で、ボールが手につかずにチャンスを潰すようなシーンもありましたが、前半終了の時点で両者の力の差は明白でした。
日本は隙をついた速攻、ラインアウトから用意されたプレーでのトライもあったものの、フランスが慌てるような時間帯はほぼなかったように思います。

フランスが日本の良さを消すというよりは、ある程度日本のやりたいことはやらせたような戦い方をしたので、日本の選手も小さくない力の差は感じたでしょう。
相手の勢いに飲まれてやりたいことができなかったイングランド戦よりも、あるいはより顕著に感じられたかもしれません。

本気に近いティア1と試合が組めるようになっただけでも過去の日本代表と比べれば大きな進歩なわけですが、本気でWCで優勝を狙うチームとの力の差は実際のところこのようなものなのだろうと思います。

今秋の3連戦のように強い相手と本気の試合をすることは、もちろん意義があることだと思います。
ただ、このようなマッチメイクの仕方でよかったのかという疑問も残ります。

この秋のテストマッチでは、イタリアが初めて豪州を破り、ジョージアウェールズに初めて勝利しました。同じプールのサモアはそのジョージアに前の試合で勝っているわけです。
半年ぐらいは代表活動がないわけで、強い相手に(部分的には)いいプレーができた、という漠然とした感触を持ち帰るだけで、具体的な成果を上げられなかったり、競った試合ができなかったりしたことは、今後きわどい勝負のときに差となって出てくる気はします。
目標がプール3位以内ということであればギリギリ良し、なのでしょうが。


さて、ここ何試合かを通じての感想です。

SRへの日本チームの参戦がなくなったときから予想されていたことではありますが、強度が高いプレー環境を継続的に経験できなくなったことで、2019年と比べても選手層が薄くなった感があります。特定選手への依存がきわめて大きい状態です。

怪我人などの事情があるとしても、主力のHOや右PRを毎試合のように70分過ぎぐらいまで引っ張らないといけないというのは、ノーマルな状態とは言えません。
FB山中は、ところどころミスも目立ちましたが、陣地を取るためのキックの負荷が大きすぎる感じはします。飛距離があまり出ないSOやキックがあまり得意でないWTBを起用している影響もあるのでしょう。

替えが利かない(ように思える)選手がかなり多い印象です。
ジョセフHCがテストマッチに求める選手の基準が明確に決まっているからと思われ、それはそれでいいとは思いますが、だいぶ心許ない状況であるのは確かです。

2019年のときは国内リーグがなく、代表活動にすべてを注げる状況で、疲労の蓄積は代表側でコントロールできましたが、今回はそうではありません。
欧州や南半球と比べれば、リーグワンの試合の強度はそこまでではないのも確かですが、主力選手の怪我諸々のリスクはかなりあるようには思います。