日本代表・代表候補の発表について

5月24日、日本代表33名と代表候補10名が発表されました。

www.rugby-japan.jp


選手のセレクションはヘッドコーチの専権事項ですので、どうこういうつもりもないのですが、過去からの連続性や国際試合を踏まえた観点からすると、少々微妙な印象を受けたのも確かですので、ポジション別に感想を述べてみます。


■左PR
稲垣 啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ
クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ
シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス
小林 賢太(東京サントリーサンゴリアス) ※代表候補

2019の後の常連といえる稲垣、ミラーのコンビにノンキャップのハラシリを加えた3名が代表。ルーキーイヤーの小林が期待値込みでしょうが候補に入っています。
ハラシリはどちらかというと元々バックローの選手。2019の中島イシレリ方式で、合宿で集中強化して国際基準のPRの育成を目指すということになりそうです。
どちらがスターターになるかは相手次第のところもありますが、稲垣、ミラーのリレーができれば特段の心配はないポジションです。ただ、どちらかが負傷で離脱ということになればかなり心許ない状況になります。

■右PR
具智元(コベルコ神戸スティーラーズ
垣永 真之介(東京サントリーサンゴリアス
ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ
伊藤 平一郎(静岡ブルーレヴズ)  ※代表候補

2019メンバーの具、ヴァルと、2019は漏れたものの古くからの代表常連である垣永という3名が代表。候補に入った伊藤も大ベテラン。一番新鮮味がなく、前回からの上積みがなかったポジションといえそうです。
具が怪我がちで今シーズンのリーグワンでもほとんどプレー機会がなかった点が気になるところ。スクラムの要のポジションなので、誰がベストコンディションで残れるかがかなり重要です。

■HO
堀江 翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手 淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ
堀越 康介(東京サントリーサンゴリアス
中村 駿太(東京サントリーサンゴリアス)  ※代表候補

順当という印象があるポジション。候補に入っているのもサンゴリアスの中村で、2チームだけで占めているのがいかがなものかという気もしますが。
HOは3名枠だと思いますので、負傷離脱がない限りはこの3名が選出となるのでしょうが、選手起用に関しても、坂手→堀江というワイルドナイツのいつもの形で波乱はない感じはします。

■LO
ジェームス・ムーア(浦安D-Rocks)
ヘル ウヴェ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
サウマキ アマナキ(コベルコ神戸スティーラーズ
ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)
アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)
ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ

ファカタヴァとコーネルセンは表記上、FLも兼任となっていますが、LOとして想定されているのはこの6名。候補の方に回っているガンターはFL表記ですが、負傷が回復すればこの枠の争いにも加わってくる属性の選手でしょう。
2019の後に色々試した割には、、、という印象も受けるポジションです。
ムーアは2019に大活躍したとはいえ、今シーズンはディビジョン2の浦安で負傷によりほぼ出番なし。サウマキとファカタヴァはノンキャップですからね。サウマキもそれほど今シーズン活躍していた印象はないですが。

■FL/No8
福井 翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ
姫野 和樹(トヨタヴェルブリッツ
リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)
ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ) ※代表候補
下川 甲嗣(東京サントリーサンゴリアス) ※代表候補
ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ) ※代表候補
テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス) ※代表候補

FLとNo8表記の代表組は4名。先にあげたファカタヴァとコーネルセンもバックローで使われる可能性はあります。候補の方も先に紹介したガンターのほか、実績十分なラブスカフニ、タタフがいて、負傷が回復したら当然ポジション争いに加わってくるはずです。
ラインアウトのジャンパー担当、ペネトレイター担当などタイプは分けたうえで選考されると思いますが、一番層が厚いポジションといえます。

■SH
齋藤 直人(東京サントリーサンゴリアス
流 大(東京サントリーサンゴリアス
福田 健太(トヨタヴェルブリッツ
茂野 海人(トヨタヴェルブリッツ) ※代表候補

サンゴリアスの二人と、ヴェルブリッツの福田と立場が別れて同じチームの茂野。国際経験は茂野のほうがはるかに上ですが、先発は福田のほうが多かったので今の立場を考えると順当とも言えます。
このポジションは、負傷がない限りサンゴリアスの二人が確実に試合に出ることになるでしょうが、ヴェルブリッツの二人の序列が入れ替わる可能性はある気がします。

■SO
李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ
松田 力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ
山中 亮平(コベルコ神戸スティーラーズ
小倉 順平(横浜キヤノンイーグルス

上の二人がSO専任、下の二人がFB兼任という表記になっています。
ネットでも一番選考が話題になっていたセクション。
このポジションに限らず、SH以外のBKはユーティリティ性を重視した選考という印象です。国内開催の前回と違って、代替選手をすぐには呼びにくいという事情もあるのだろうと思います。
小倉に関しては、器用ないい選手だと思うものの、サイズとスピードを考えれば、実際にテストマッチでFBを務めるのは厳しいように感じます。実質的にはSOの三番手なのではないかと。
松田はコンディションが万全とは思えず、李も所属先で苦しいシーズンを過ごしたこともあって、このポジションは不安要素が小さくないですね。

■CTB
ニコラス・マクカラン(東芝ブレイブルーパス東京)
中村 亮土(東京サントリーサンゴリアス
長田 智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ
中野 将伍(東京サントリーサンゴリアス
ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ
 
ノンキャップが二人。マクカランはフィジカルを活かして前に出るスタイルなので、ある程度計算できる気がしますが、緩急と柔らかさが強みの長田は国際試合で機能できるか、やや読みにくい感じがします。
国内の調整試合で結果を出せれば、消耗が激しいポジションだけに、全員残る可能性もあるように思います。
 
■WTB
シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ
木田 晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ
ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)
松島 幸太朗(東京サントリーサンゴリアス
高橋 汰地(トヨタヴェルブリッツ) ※代表候補
レメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛) ※代表候補
 
松島がFB兼任の扱いとなっています。
今までの起用の多さではフィフィタと松島の起用が有力なのでしょうが、呼ばれた選手の内訳を見ると、コーチ陣もちょっと迷っているのかなという気はします。
誰が最終的に残るか、一番読みにくいセクションかなと思います。
 
FBは、今までの起用を考えると、山中がファーストチョイスになるのでしょうが、今シーズンの出来が決してよかったわけではないのが不安視されるところです。彼がSOを務めることは、よほどのスクランブル状態でなければないように思います。
表記はWTB専任となっているマシレワやレメキがFBで起用される可能性もある気はします。
SOと並んで、FBも不透明感があるポジションのように思います。
 
 
一応このメンバーからワールドカップのメンバーが選出される建付のようですが、負傷が避けられないスポーツなので、まだ二転三転あるのではないかと。
引き続きウォッチしたいと思います。