トップリーグ2021 第5節 全体所感

第5節の振り返りです。

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NTTコム、今シーズン唯一の金曜夜の試合。

東芝は、前節のサントリー戦の大敗を受けてと思われますが、試合冒頭から意欲的なアタックを見せました。NTTコムを自陣に押し込んでから時間はかかったがトライを取り切るまではよかった、というゲームになってしまいました。

NTTコムの早いアタックからあっさり取られるシーンが目立ちました。素早くボールを回されると、ディフェンスが対応しきれない。解説の藤島さんもどこが悪いとは言いにくい、というようなコメントをしていたと思いますが、全体的に少しずつよくない、今一つという印象を受けます。初登場の12テイラーが入って序盤の攻撃のテンポは今までと違う感じも受けたので、早々に負傷交代してしまったのは残念でしたね。

NTTコムは、張、石井魁の両WTBの動きが軽快でした。CTBに足の速いゲイツが戻ってきて、アタックのスピードも上がってきたような気がしますね。このチームはFWのサイズをあまり重視せず、走力を優先した戦い方をしている印象を受けます。SHレイドローも本来はスローなゲーム展開が得意なのでしょうが、短いキックを織り交ぜたり周囲を活かす工夫をしていますね。

 

ホワイトカンファレンス内の順位争いのうえで大切な、リコーとキヤノンの事務機ダービー。

キヤノンスクラム、リコーはラインアウトが不安定で、双方にスコアチャンスが訪れるような、やや落ち着かない試合になりました

スコアが示すとおり、地力の差はあまりなかったと思いますが、キヤノンがWTBホセア・サウマキなど、選手交代で勢いを増したのに対し、リコーのリザーブの選手はあまり活性化できなかったかなと。最終的にキヤノンが逆転したのはその差だったような気がします。

それにしても、リコーのSOアイザック・ルーカスは、キヤノンの南ア代表CTBクリエルを制してゲインするシーンが複数回ありました。大きくない身体でするするっとゲインできる能力は非凡ですね。

キヤノンのサウマキ兄弟の弟アマナキはTLではデビュー戦だったようで。ラグビーリパブリックの記事を見ると、兄弟と抱き合うカーク(背番号6)はいいヤツだなと思いますね。

 

ヤマハはこれ以上負けを重ねたくないところでしたが、やはり神戸製鋼との間には地力の差があったようです。セットプレーにこだわらずタップキックも使ったのは、過去の試合でセットプレーがうまく機能しない面があったから、ということもあったと思いますが、神戸製鋼のようにアンストラクチャーを活かすのがうまい選手が多い相手にとって効果的な戦い方だったのかどうか。強い相手に対し、勝敗をある程度度外視したトライだった面もあるような気がします。

神戸製鋼は、リコー戦よりもボールを動かすことを意識したのか、ワイドにボールが動いてうまくスコアできていたように思います。見方を活かす動きが巧みな選手が多いチームなので、ボールが動く状況をつくられると、相手としてはアタックを止め切るのはかなり難しいですね。

 

トヨタは、前半ではペナルティをもらったらキックで3点を狙う戦略でした。試合の入りはそれでいいと思いますが、相手にトライを取られて以降は、トライを狙った方がよかったような気がします。その方が相手にとっても脅威だったのではないかと。そもそもHonda戦の3失点はともかく、東芝に33点、NTTコムに29点サニックスにも29点取られるディフェンスの緩さがあって、ロースコアに持ち込むような戦い方は難しいチームだと思いますので。。

スコア自体はどのチームが相手でもある程度できるでしょうから、相手の攻撃のテンポを遅らせるなど、失点を抑える工夫をもう少し整えれば優勝争いに絡めるように感じます。

サントリーは、ある程度選手のプレータイムをコントロールしながら、しっかり勝っているところに選手層の厚さを感じますね。負けている時間帯でもそこまで焦りを感じなかったのは、成熟したチームの証という印象を受けました。

 

前半は雨が強く、ボールが動かしにくいような試合でしたが、ゴール前のモールなど、確実な得点パターンを持っているクボタが着実にスコアしました。今シーズンのこのチーム、簡単に負けることもなさそうですが、不思議と大差の展開にもならないですね。

三菱重工では、後半21分にデッドボールラインを超えそうなボールを折り返してトライをお膳立てしたシーンなど、CTBリトルの動きはやはり目立っていましたね。トラックのある陸上競技場ならではという珍しいプレーでした。選手層の薄さはあるとしても、三菱重工は8名のリザーブ中、ピッチに立ったのは2名だけ。23名のマネジメントで80分を戦う現ラグビーとは思えませんね。。

 

ドコモは、最初にWTBマピンピにボールが回ってあっさりトライしてしまって、チーム全体が何となく浮ついたような雰囲気のまま、時間が経過してしまったような試合でした。過去の試合のようにゲームに集中し、ゲームをリードしているという印象はやや薄かったように思いますが、接戦を勝ち切ったのはチームとしての成長でしょうね。

日野は、相手のSHペレナラを自由にさせないという戦術を徹底していて、その戦いはある程度功を奏していたと思いました。選手層が厚くないチームなので、負傷交代した選手の状態が気になります。特に中心選手のSHプルは足を地面に着けない状態で退場したので、長引きそうで心配ですね。

 

パナソニックは62得点。実力差がスコアほどあるとは思いませんが、負けているチームが何とかスコアしようと前がかりになると、カウンターが得意なこのチームはその状況をスコアに活かすのがうまいですね。

NECは、メンバー発表後にSOグッドが負傷したため、FBにケラウェイが入るなど、BKのメンバー変更がありました。アタックでの工夫もあり、ディフェンスの集中も切れていたわけではないですが、苦しい試合でした。序盤に活躍したLOジェフリーズの負傷などもあって、外国籍選手も層が厚くないので、メンバー構成がなかなか厳しい。

公式記録上は後半38分のケラウェイが受けたイエローカード。相手CTBパークスの頭部が彼の肩にあたったというものですが、頸部及び顎部へのコンタクトは故意でなくても現象で処罰対象になるとは言うものの、相手が自分で転んで倒れかかってきて避けようもないケースでも杓子定規にイエローを出すのはいかがなものかな、と思いました。

 

今まで全敗同士のHondaとサニックスの雨中での試合。初勝利を目指した熱のこもったゲームとなりました。サニックスのCTBベネットが前半早々に交代。4節のトヨタ戦でも自分がトライを取った後に負傷交代する場面がありましたが、致し方ないですがチームマネジメント的には苦しいですね。負傷から復帰のNo8ウォーレンボスアヤコは2トライと貢献しましたが、寝た選手へのチャージでレッドカードをもらったのは、勢い余ったとしても余計でしたね。いい面でも悪い面でも目立ってしまいました。

このレッドカードから流れが変わって、Hondaが惜しいところまで押し込みましたがタイムアップ。15人対14人の時間帯がもう少し長ければ、逆転もあったかもしれません。先に書いた三菱重工リザーブを6枚残したというのは極端な例としても、この試合でもHondaは3枚、サニックスは2枚残しています。交代するタイミングが難しかった事情はあるとしても、後半途中でフレッシュな選手を出して勢いをつけるような戦い方ができないと、今のTLで勝ち星を重ねるのは難しい感があります。