ディビジョン1 カンファレンスA 戦力分析

2022年シーズンからトップリーグからリーグワンに衣替えするにあたり、選手起用に関するルール変更がありました。

 

最も大きな変更点は、トップリーグが国籍を基準に判断していたのに対し、リーグワンでは日本国籍を有していない選手でも日本代表選手や代表資格をクリアしている選手は日本出身選手と同じ扱いになるという点です。

日本代表資格を持つ外国籍選手を擁するチームが有利になった一方、代表資格がない外国籍選手の枠が最大5名(アジア枠除く)から4名になりましたので、かえって外国籍選手の起用が難しくなったチームもあります。

 

このルール変更に関するチーム戦力への影響を主な話題として、ディビジョン1の戦力分析をしていきたいと思います。

日本代表(15人制・7人制)のキャップホルダーはラグビー協会のサイトにも掲載されていて明確である一方、代表資格の有無については経歴だけではわかりにくく、情報が開示されているわけでもなさそうなので、参考程度でご理解ください。

 

なお、セブンズ代表の直近のドバイ遠征に参加した選手の話題があちこちで出てきますが、リーグワンのチームに所属する選手は、セブンズの今後のシリーズよりはリーグ戦を優先するであろうという前提で書いています。個々の判断でセブンズの方を選択する選手もいるかもしれません。

 

まずはディビジョン1のカンファレンスAです。

 

グリーンロケッツ

2019年WC代表のWTBレメキはもともと日本国籍も有する選手ですが、同じく日本代表経験をもつCTBベネット含めこの2名の加入は起用の幅を広げますね。二人ともサニックスブルースからの移籍です。

また、日本の4年制大学出身のFLマシヴォワとタギベタウアは先のセブンズのドバイ遠征でキャップを獲得しました。大卒2年目と1年目の選手のためトップレベルの経験は浅いですが、フィジカル面のポテンシャルはあると思いますので、試合経験を重ねるうちに化ける可能性はありますね。

No8のリサレも流経大出身で、卒業後から継続してこのチームに所属しており、代表資格の可能性はあるのかなと思います。

チームの陣容は大きく変わりましたが、新加入選手は経験値が高い人が多いため、新コーチ陣の戦術がフィットしてくれば台風の目になる可能性は十分あります。

先日の練習試合ではレメキを10番の位置で起用したようで、様々な選手起用の選択肢のなかから試行錯誤しながら戦術を組み立ててくるのではないかと思います。

 

シャイニングアークス

2019年WC代表のLOムーア、新シーズンのキャプテンに指名されているCTBゲイツが日本代表歴を持つのは大きいですね。

どこまでフィットしてくるかまだわかりませんが、日本代表経験・日本国籍を有するLOトンプソンルークが戦力になればさらに二列目・三列目の層が厚くなります。

7人制の五輪代表でプレーしたヘンリーブラッキン(元豪州セブンズ代表)がBKの複数ポジションで起用できるのも頼もしいところです。

昨シーズンから在籍のSHレイドロー、新加入のFBフォラウなど、外国籍選手は経験値が高い選手が多いので、出戻りのロブ・ペニーHCの手腕によっては上位進出を果たしても不思議ではないと思います。

 

スピアーズ

もともと日本国籍を持つ選手が多いチームではありますが、現代表のキャプテンであるFLラブスカフニと、No8マキシも日本代表経験者であるため、起用に制約がなくなったのは有利に働きます。

日本代表経験・日本国籍をもつLOヘルウヴェの加入も大きいですね。

もともと日本国籍をもつ海外出身選手が多く、パワーを前面に出した南ア的な戦術を採るチームです。

ただ、他チームのパワー、サイズも総じて向上したこと、相手がプレースタイルを研究するであろうことなどから、戦術に工夫がないようだと昨シーズンよりは苦戦するように感じますね。特にフィニッシュのところで苦労するような気がしています。

 

スティーラーズ

日本国籍をもつNo8ナエアタルイが移籍し、同じステータスのトコキオソシセニが加入。プレースタイルは多少違いますが、プラスマイナスはトントンに近いのかなぁという印象。

CTBモエアキオラは義務教育修了者で日本人選手扱いだったため、日本代表歴をもつ特別枠選手はいないと思います。帝京大学出身のブロディ・マッカランは卒業後にこのチームに加入しているので、おそらく代表資格はあるのではないかと思いますが。

もともと外国籍に優秀な選手が多いチームですが、元オールブラックスのレジェンド、ベン・スミスのシーズン直前での退団はやはり痛手でしょう。ただ、日本人の若い選手にも有望株は多いので、育てていくことも意識してほしいかなと思います。

アジア枠で起用でき、貢献度の高かった韓国人のLO張が起用しづらくなったのも、地味に痛いように感じます。

 

ワイルドナイツ

新リーグに伴うルール変更で、最も恩恵を受けるチームの一つです。日本代表に多くの選手を輩出していて貢献度が高いからということですが。

直近の11月のテストマッチで招集されていた、PRミラー、FLコーネルセン、CTBライリー、FLガンター(兼アジア枠)がTL時の特別枠から日本人と同様の枠で起用できるようになりました。

他国の代表キャップを有する選手も、昨シーズンからプレーするLOクルーズ、CTBパークスに加え、WTBコロインベテが新戦力となりました。キャップを持たない外国籍選手もSRでバリバリやっていたような選手が中心です。

もともと戦力も厚いチームですが、このルール変更により様々な組み合わせの選手起用が可能になりましたので、最も優勝に近いチームと言えると思います。

 

イーグルス

もともと日本国籍をもっている海外出身選手も多いチームでしたが、2015、2019年WC代表のアマナキ・レレイ・マフィが起用しやすくなったのは大きいでしょう。

日本出身選手と同等の扱いの選手がFWの二列目、三列目にかなり多いことは戦術的に有利に働くと思います。

FWで勢いをつけて、7人制の五輪代表から戻ってきたWTB松井や、新加入のCTB梶村といった走力があるBKのアタックが噛み合えば、面白い存在になる気がします。戦力の厚みが他チームと比較して厚い方ではないように思うので、怪我などがかさんでくればやや戦力に不安があります。