ジャパンラグビーチャリティーマッチ2022 試合所感

6月11日(土)、秩父宮ラグビー場で開催された「EMERGING BLOSSOMS vs TONGA SAMURAI XV」のチャリティーマッチは、31対12でEMERGING BLOSSOMSが勝利しました。

 

この試合、筆者は現地観戦しました。
トンガチームを迎え撃つのは日本代表というではないわけですが、8,055名の観客のうちかなりの部分は日本代表のユニフォームを着用していました。
 
筆者の経験上、試合終了後は一定数の観客は混みあわないうちに足早に席を立つものです。しかし、この日は試合後のセレモニーにも大部分が残っていました。
この試合の意義を理解し、チケットを買って現地に試合に足を運んだのは、コアの日本代表ファンなのだろうということをあらためて認識しました。
 
先日も書いたように、筆者はチャリティーマッチに日本代表強化の要素が混ざることに肯定的ではありませんでしたが、この種の試合としてはかなりの人数が集客でき、また日本代表が絡むことでトンガ支援のための試合がそれなりにメディアに露出したことを考えると、妥当な判断だったかなと少し認識をあらためました。
試合の中身が代表の強化としては効果は限定的という意見はあまり変わっていませんが。
 
組織的なディフェンスをつくり込む時間はなかったであろうトンガチームに対し、日本代表候補チームがボールを展開させればビッグチャンスをいくつか演出できるであろうこと、後半途中から選手交代が多くなれば、個人の馬力を活かしてトンガチームが押し込むであろうことは想定済でしたので、かなり予想どおりといっていい試合展開でした。
 
9茂野、10田村、12立川、13ラファエレとアタックの中心に経験値の高い選手が並んでいましたので、EMERGING BLOSSOMSの攻撃の仕掛けは滑らかでした。相手が積極的に前に出るディフェンスをしたわけではないので、これも想定内でしょう。
 
一方で、シーズン途中に怪我から復帰してリーグ戦のプレータイムが限られていたことからこちらに回ったであろうヴィンピー・ファンデルヴァルトの仕事量は目立っていましたし、テビタ・タタフの馬力は同胞を相手にしても際立っていました。
また、代表関連の試合に初めて出場したLO辻の敢闘も評価されるポイントでしょう。
EMERGING BLOSSOMSの収穫としてはそのあたりでしょうか。
 
バックスリー陣はアタック時に大きなゲインを見せたりもしましたが、相手のディフェンスの練度を考えると想定内だったでしょうし、逆にハイボールの競り合いで相手にクリーンキャッチされてゲインされるシーンが多かったのをJJは評価しないだろうなという気はします。
 
とはいえ、チャリティーマッチにありがちな緩さは少なく、トンガチームの選手たちも意欲高く戦ったので見るべき点は多かったと思います。
 
トンガで固定するかはともかくとして、国内の若手選手とトンガ(あるいは国内居住の太平洋出身者)チームのチャリティーマッチを恒例化してもよいように感じました。