準々決勝 所感

遅くなりましたが、準々決勝4試合の感想をざっくりと記してみます。
先日も書いたように、組み合わせの兼ね合いで実力が近いもの同士の試合となったこともあって、白熱した試合が続きました。


ウェールズ  17   VS   29  アルゼンチン
https://www.rugbyworldcup.com/2023/match/quarter-final-1-winner-pool-c-runner-up-pool-d
 
序盤にアルゼンチンのアタックが空回りし、ミスやペナルティで失点を重ねたあたり、典型的なアルゼンチンの負けパターンの試合かと思いましたが、ウェールズにもミスが続き、最低限ぐらいの失点で留まったことが逆転勝利につながったかと思います。
ウェールズはアタックの手段が乏しく、再三のハイパントもほとんどアルゼンチンに確保されたことで攻め手がきわめて限られていました。また、ベテランがコンディション不良でも無理して出ていた感もあって、選手層に厚みがなかったですね。
アルゼンチンは最初にスコアするまで時間がかかりましたが、敵陣でプレーする時間が徐々に長くなり、ペナルティで得点できるようになっていきました。
双方にハンドリングエラーも多く、技術的にはやや低調な感もある試合でしたが、アルゼンチンのトライセービングタックル、インターセプトからのトライなど、終盤に見せ場がありましたね。
アルゼンチンはチームの完成度が上がってきた感じはあまりしないものの、ディフェンス時の規律は保てている印象。サンチェス、クレービー、モローニといったベテランが力を発揮したこともあってチームに勢いが増すかもしれません。


アイルランド  24   VS   28  ニュージーランド
https://www.rugbyworldcup.com/2023/match/quarter-final-2-winner-pool-b-runner-up-pool-a
 
序盤、オールブラックスにしてはボールが落ち着かない、ちょっと不思議な時間帯がありました。相当な重圧を感じていたということだと思いますが、そこでアイルランドが先にスコアしていたら違う展開もあったのかもしれません。
オールブラックスが総合力で勝負しないと割り切って、パス展開を最低限にして、少ない手数でトライを取ることに専念したのが功を奏した感があります。開幕前に南アフリカに大敗せず、開幕戦でフランスに負けていなければ、オールブラックスも違う試合の臨み方をして、ひょっとしたら結果も異なるものだったかもしれません。
アイルランドはベスト8の壁を越えたことがないなか今回は下馬評は上という状況。固くなるのは無理もないですが、プレーにどこかぎこちなさを感じる試合でした。強さを見せるというよりは勝つことに徹したオールブラックスをほめるべきかもしれませんが、失点がややあっさりしていた印象です。
今大会での引退を表明していたSOセクストンのほか、CTBアキ、SHギブソンパークなどのNZ出身者も気迫は十分だっただけにここで消えるのは惜しいですね。一回越えてしまえばベスト8の壁もなんてこともなくなるかもしれませんが、次の機会は4年後になります。すでにセクストンのほか、100キャップホルダーのWTBアールズも引退を表明していますが、30代以上の選手が多いだけに世代交代は進むかもしれません。


イングランド  30   VS   24  フィジー
https://www.rugbyworldcup.com/2023/match/quarter-final-3-winner-pool-d-runner-up-pool-c
 
開幕前のウォームアップマッチでは敗れていたイングランド。おそらくこのタイミングで当たる想定はしていなかったのでしょう。
勝つには勝ったが勝っただけという印象です。個々の選手の地力は垣間見えましたが、アタックは組織的ではなく、終盤ではフィジーの個人の力であっさり崩されていたようにも思います。唯一無敗でセミファイナルに辿り着きましたが、よほど戦術を整えない限りは、次は苦しいという気はします。
フィジーは奔放なアタックが影を潜めていましたが、追い詰められて後半20分ぐらいからちょっとだけ片鱗を見せたような感じです。同点に追いついてからのアタックでは焦る必要はなかったのにと思いますが、このあたりで落ち着いて仕留められるようなると、もう一段階上のステージに上がったといえるのでしょうね。とはいえ地力的にはいわゆるティア1と比べて遜色ないレベルに到達している感はあります。


フランス  28   VS   29  南アフリカ
https://www.rugbyworldcup.com/2023/match/quarter-final-4-winner-pool-a-runner-up-pool-b
 
フランスは初優勝を達成するのに十分な戦力は有していたと思いますが、ここで力尽きました。アイルランドもそうですが、クォーターファイナルで消えるには惜しすぎるチームです。
フランスに何かが足りなかったとは思いませんが、南アフリカのほうが相手を分析した対策を施してきて、それがはまったとはいえるでしょうね。試合を振り返れば、WTBコルビのキックチャージがその後のプレーにも少なからず影響を与えたとも思います。こういうテンションの試合では難しかったでしょうが、選手交代のタイミングももう少し工夫があったのではとも感じました。まあ結果論です。
南アフリカは、選手層の厚さ、戦術の柔軟性を見せました。どんな戦い方にも対応しうるという点で、現状優勝に一番近いように感じています。