準決勝 展望

フランス大会も残り4試合。準決勝の2試合の展望を記しておきます。
 
■アルゼンチン  VS  ニュージーランド
実績、総合力などを踏まえればニュージーランド優位は動かない試合ですが、アルゼンチンは2020年以降の同国とのテストマッチ7戦のうち2勝しています。2020年11月のシドニーでの初勝利、2022年8月のクライストチャーチでのアウェイ初勝利の2試合です。ちなみに、この試合の主審に指名されているアンガス・ガードナーは2020年の試合での主審でもありました。
オールブラックスは準々決勝で優勝候補の一角アイルランドを壮絶な試合の末、破りました。準決勝では優位な立場になりますが、あの強度の高いゲームで見せたようなハイパフォーマンスは2試合は続かない、大きな山を越えたあとでチームがやや緩い入り方をする可能性がある、といったところが懸念材料です。
アルゼンチンの二つの勝利の経験者の大部分は今回も残っています。どのようなパフォーマンスができたときにオールブラックスに勝てるのかを実体験として理解しています。頭でわかっていても80分間継続することが難しいわけですが、一度もオールブラックスに勝ったことがないチーム、選手がワールドカップの準決勝でそれを成し遂げるよりは難易度は高くないでしょう。3年間で2勝5敗。自分たちにはできると信じることができない勝率ではないですね。
ニュージーランドの順当勝ちの可能性が高い試合ではあるものの、彼らがあまりよくない試合の入り方をしたときと、アルゼンチンがゲームプランを着実に遂行することが重なったときに波乱が起こる可能性は十分ある、としておきます。
 
前回の大会の決勝の再現となるカード。前回大会の優勝HCであり、現在南アフリカのディレクターオブラグビーであるエラスムス氏は、イングランドの登録選手を予想する心理戦を仕掛けています。南アフリカほどの戦術のバリエーションがないので予想しやすいというのもあると思いますが。
イングランドは長い距離を一気に走り切ってのトライというシーンはなかなかつくれないと思いますので、南アフリカも対策は取ってくるでしょうがハイパントの使い方が一つ重要なポイントになる気がします。
また、ファレルなどいいキッカーはいますので、ペナルティで着実に加点できれば優位に立てるでしょう。ただ、南アフリカも同じことは考えますので、技術的にしっかりとアタック、ディフェンスを組み立てる必要もあると思います。
南アフリカオールブラックスと同様、激戦を制したあとの試合ですが、選手交代は早めに行っていたので、疲労は最小限と思われます。
キックを効果的に使って、速いWTBを活かすような展開はあるはずですので、イングランドとしては質の高いキックを蹴らせないためのディフェンスの工夫も必要でしょう。
ここまでの試合を見る限り、チームの総合力では南アフリカに分があると思いますが、イングランドが勝利するためにはかなり緻密に80分間をマネジメントする必要がありますね。