リーグワン2022-2023 ディビジョン1・第1節① 登録選手 所感

リーグワン2022-2023シーズンのディビジョン1・第1節の初日、12月17日(土)の登録メンバーが発表されました。

リコーブラックラムズ東京 VS 三菱重工相模原ダイナボアーズ
https://league-one.jp/match/23976?t1=1

12時KOでほかの試合よりも早く、実質的に開幕戦となるカード。秩父宮で開催されます。

ブラックラムズは新加入の元イングランド代表、No8のヒューズを早速起用してきました。リザーブ7名中FWの選手が5名であるあたり、FW戦で優位に立ちたい狙いが見えますね。
CTBに新加入のパークスと池田という前に出る力が強いコンビを組んできました。ギャップを自らのランで突くのがうまいSOルーカスがうまく活かせば面白いアタックになりそうです。

一方のダイナボアーズは、新加入のヘンリーブラッキンがSOで先発。ほかの選手のコンディションの事情か、それとも明確な狙いがあるのかわかりませんが、CTBやWTB以外のイメージがない分、新鮮ですね。
BKは全般的に前に出る力があると思いますので、FW戦で対抗できるかがポイントになるような気はします。

力関係は近いチームだと思いますので、この試合の出来いかんで、両チームが上半分にいけるか、下半分に沈むかが占えそうな気もします。


トヨタヴェルブリッツ VS 静岡ブルーレヴズ
https://league-one.jp/match/23977?t1=1

昨シーズンの開幕節と同じ組み合わせですが、昨シーズンはコロナ事情で流れてしまっていました。

両チームともスターティングのLOが国産選手というのが、いまどきのこのリーグでは珍しい感じです。
ヴェルブリッツは、バックローの姫野はリザーブからのスタート。

一方のブルーレヴズは、コンディションの都合か、BKに外国籍選手を厚くしたかったのかはわかりませんが、FWの先発の外国籍選手はクワッガ・スミスのみで、全体にサイズは大きくありません。
ヴェルブリッツも大きいと言えるのはデュトイぐらいですが、静岡はタイトなディフェンスを継続できるかがポイントになりそうです。


■埼玉パナソニックワイルドナイツ VS 東芝ブレイブルーパス東京
https://league-one.jp/match/23975?t1=1

KOが14時40分と微妙にほかの試合とずれている一戦。今シーズンの上位争いの行方を占ううえで、この日の注目の試合と言えます。

ワイルドナイツは、CTBがパークスからデアレンデに置き換わったぐらいで、先発は昨シーズンとあまり変わらない安定のメンバーという感じです。
長らく負傷していて今年の代表活動もお休みしていたSO松田は先発で、開幕に間に合いました。

ブレイブルーパスとしては、相手が昨年のチャンピオンとはいえ、今後を見据えて下手な試合はしたくないところ。
先発のフロントローに若手が並んでいることが注目に値しますね。それ以外は昨シーズンからそれほど大きな変更はない感じですが、リザーブにLOタイプの選手を入れていないところも考えがあると思われます。先発のLOに有事があったら、おそらく先発のバックローから回すのでしょう。
 

リーグワン2022-2023 戦力分析(ディビジョン2)

ディビジョン2の分析も簡単にしておきます。
 

最初は、浦安D-Rocks。
https://league-one.jp/team/37?t1=1

NTT系の2チームがNTTグループの象徴チームとして一つに合体したチームということもあり、このカテゴリでは余剰なほどの戦力がいます。選手の契約の事情などがあったと想像しますが、消化する試合数からして明らかに多すぎます。
質としても十分に上のカテゴリで戦えるメンツが揃っているので、少なくとも上位3チームが該当するディビジョン1への入替戦に進めないほうがおかしいという状況。
 
心配されるのは、ディビジョン2では圧倒的に優位に立つものの、そこであまり強度が高い試合を経験しないまま入替戦でディビジョン1勢と対戦して力を出しきれない、という展開です。過去の入替戦でもまま見られる展開ですが、これは大いにありえそうではあります。
HCが前ドコモのアッカーマン氏なので、特にFWはドコモからスライドしてきた南ア勢を中心に組み立てるような気はします。


昨シーズンは入替戦で敗れた三重ホンダヒート
https://league-one.jp/team/42?t1=1

浦安ほどの量ではないですが、戦力はこのカテゴリではかなり充実していると思います。
新加入のFLマテーラ(アルゼンチン)、FBバンクス(豪州)は秋のテストマッチでもそれぞれの代表に入っていた選手。元からチームにいたLOモスタート(南ア)も含め、2部でプレーする選手じゃないよねという感じはします。
WCを控えていいコンディション調整ができそうで、それぞれの代表HCとしてはありがたいでしょう。
 
基本的にはこのチームも入替戦進出は当然で、ディビジョン1チームとの決戦が勝負というところでしょう。
前述の力のある選手たちはそこだけ力を発揮してくれればいいというと言い過ぎかもしれませんが。


日野レッドドルフィンズ。昨シーズンは上位争いをするかとも思いましたが、上位3チームには一つも勝てずちょっと力の差が感じられました。
現役豪州代表クラスのLOアーノルドを獲得しましたが、補強ポイントはそこだったのかなという気はします。どちらかというとバックローやWTBあたりに力のある選手を足したかったように思います。
しかし、日本人のベテランや、SHにNZセブンズ代表からトンガ代表に資格変更したSHプルなど、経験値の高い選手は各ポジションに存在しており、上位3チームのなかでの争いには加わると思います。


昨シーズンは5位だった釜石シーウェイブスRFC
https://league-one.jp/team/38?t1=1

だいぶメンバーが入れ替わっていますが、ディビジョン1からの移籍組、活動休止した宗像の選手などもかなり加わっているので、高いレベルの試合の経験値の総量としては上がっているかもしれません。
アタックの人材に少々難があり、大量得点は難しいチームだと思いますので、粘り強く戦って少しでも勝てる試合を拾って、順位を上げていきたいという戦いになるかと思います。


入替戦なしでディビジョン3から昇格した豊田自動織機シャトルズ愛知。
https://league-one.jp/team/40?t1=1
 
昨シーズンの戦力はディビジョン3のなかでは圧倒的でした。
引き続き新加入の選手も含めて、外国籍選手はかなりのレベルの人材が揃っていると思いますが、下のカテゴリで過ごしたシーズンが多いので、上位候補のチームと比べて社員選手含め日本出身選手の経験値が不足しているような印象があります。ただ、他チームからの移籍が増えて、1部でのプレーを知っている選手も増えてはきました。
6チームのなかでは戦力的には3番手か4番手あたりのような気はしています。
 
 
一方、入替戦を経てディビジョン3から昇格した清水建設江東ブルーシャークス
https://league-one.jp/team/39?t1=1
 
経験のある外国籍選手と、フルタイム勤務する社員選手との間に力の差がどうしても感じられるチーム。
ただ、上の方のチームはともかく、中位が予想されるチームとの間にそこまでの戦力差はないはずで、ディビジョン2での戦いに慣れてくればある程度は戦えると思います。
 
このチームと釜石の最下位争いになりそうな印象はあります。

リーグワン2022-2023 戦力分析⑥(グリーンロケッツ、ライナーズ)

ディビジョン1の最後は、昨シーズン12位で入替戦を生き残ったNECグリーンロケッツ東葛と、昇格組の花園近鉄ライナーズ

 

昨シーズンは、入替戦以外は実戦で未勝利に終わったグリーンロケッツ

league-one.jp

 

選手の出入りはかなり多いです。ベテランの選手がかなり抜けたので、チームの新陳代謝の時期にあたるという意味も大きいとは思いますが。

新加入の選手は、元ワラビーズのSHフィップス、WTBナイヤラボロなど力がないわけではないですが、カテゴリAでの上積みは少ないので、今シーズンも苦しい戦いを迫られるような気はしますね。

その点では、今シーズンD2で戦うチームから移籍してきた、SO前田、WTB尾又あたりの活躍を期待したいところです。

ラグビーで低迷してしまうチームはどこもそうですが、昨シーズンはディフェンスの粘りが弱い感じはしたので、そこにまずは取り組んでほしいと思います。

 

ディビジョン1最後の紹介は昇格組のライナーズ。

league-one.jp

 

選手の出入りは比較的多めです。元スコットランド代表のLOトゥーリスなど力のある選手も加わっていますが、同じ昇格組のダイナボアーズと比べると補強は控えめでしょうかね。

SOクーパーが選手登録されていないのは、豪州代表でのプレー中に負った大怪我の影響でシーズン中の復帰が見込みにくいということなのでしょう。練習に復帰はしているようですが。代わりのSOになるであろうNZ人のバショップもチームに合流してそれほど経っておらず、早めにチームにフィットしないと苦しい感じはします。

WTBマシレワも長期の怪我からまもなく復帰できるようですが、彼がいるかどうかで攻撃のアクセントがだいぶ変わってくるはずなので、ベストな布陣での戦いを見たいと思います。

 

このチームの日本人選手は上のカテゴリのリーグ戦をあまり経験していない選手が多い印象。全体の戦力は他チームにそこまで見劣りはしないと思いますが、そうした生え抜きの日本人選手がディビジョン1のプレーに早めに慣れることができるかが重要だと思います。

 

リーグワン2022-2023 戦力分析⑤(イーグルス、スティーラーズ)

続いて昨シーズン6位の横浜キヤノンイーグルスと、7位のコベルコ神戸スティーラーズ

 

まずは、そこそこ上位の成績を収めたイーグルス

league-one.jp

 

出入りは比較的多いですが、主力といえる選手の離脱は多くない印象。

加わった選手では、やはり南ア代表のSHデクラークの加入が一番大きなニュースです。秋の代表の試合で足を負傷して交替するシーンもありましたが、日本でのプレーに影響はなさそう。

キックを使ったプレーの組み立てに特長がある選手で、このチームの絶対的支柱SO田村との噛み合わせがどうなるか注目されるところですが、そこは沢木HCが約束事を決めるでしょうし、本人も経験豊富な選手なのでうまく調整はするのでしょう。

 

チームのベースが変わらないところに、きわめて仕事量が多い選手が加わったので楽しみなチームです。昨シーズン以上の順位も狙えるかと思います。

 

次に、昨シーズンは豪華な陣容の割には低迷してしまった印象のスティーラーズ

league-one.jp

 

テコ入れということもあってか、選手の出入りはかなり多いですね。

新加入の選手も、サンウルブズでの活躍が印象的なCTBリトル、元オールブラックスのCTBラウマペ、南ア代表の経験も豊富なFKクッツェーなど豪華。ただ、カテゴリAでの選手の上積みはそこまでないような印象もあるので、陣容の豪華さとピッチの強さが比例するかが少々微妙です。

また、選手層が厚い分、どのような選手起用が最適解なのか、見えづらいように思えるところもやや不安な要素のような気はします。

秋に日本代表デビューしたSO李を攻撃の中心に据えるのだろうと思いますが、個々にパンチのある選手がいるBK陣を有効活用できるかが鍵になる感じはします。

ハマれば強そう、ハマらなければ昨シーズンのように中位低迷ということもありえると思います。

 

 

リーグワン2022-2023 戦力分析④(サンゴリアス、スピアーズ)

カンファレンスB。
まずは昨シーズン準優勝の東京サントリーサンゴリアスと、3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。
 
今シーズンは優勝を狙いたいサンゴリアス
 
主だった選手では、主にFBでプレーしていたダミアン・マッケンジーが抜け、代わりというわけではないでしょうが、元オールブラックスのSOクルーデンが加入しました。オールブラックスのキャリアがあるという以外は特に共通項は感じませんが。
FBはクレルモンから戻ってきた松島ということになるのでしょうが、秋の代表活動であまり元気がなかったのが気になるところ。とはいえ、経験値の高い選手なのでシーズン中には調子を上げてくるでしょう。

主力では夏の豪州のセブンズ活動中に大怪我に大怪我を負ったCTBケレビがいつぐらいに戻れるのかもポイント。
全体に選手層が厚いチームですが、彼がBKにいるといないとではインパクトがだいぶ違うので、今シーズン中の復帰が難しいようだと最終成績にちょっと影響があるかもしれません。
 
昨シーズン過去最高位の3位に入ったスピアーズ。

league-one.jp


昨年は補強の動きが小幅でしたが、今年は対照的に新加入の選手を多く迎え入れました。
HOマークス、CTBクロッティが不在のときに少々パンチに欠けるきらいがありましたので、多少タイプは違うものの外国籍選手で補強という印象を受けます。CTBのところはクロッティがあまり強さを売りにするタイプではないので、逆に強さを売りにする選手として、トニー・ハント、リカス・プレトリアに期待がかかるという言い方が正しいかもしれません。
強い選手を前面に出す南ア的なチームスタイルは変わらないでしょうから、日本の高校・大学出身のNo8モアラ、FBヴァイレアあたりの活躍も期待できるかと思います。
チームのベースは変えず、新たな力を加えたという形ですので、上位争いは引き続き望めるように感じます。

リーグワン2022-2023 戦力分析③(ブラックラムズ、ダイナボアーズ)

カンファレンスAの最後は、昨シーズン9位のリコーブラックラムズ東京と、D2からの昇格組の三菱重工相模原ダイナボアーズ

 

まず、ブラックラムズ

league-one.jp


元々選手層は悪くない陣容だったと思いますが、さらに積極的な補強を行いました。

二列目、三列目の選手層はトップクラスのような気がします。ここのポジションにカテゴリAの選手がかなり多いので、パワーに関しては有利に戦えると思います。

 

昨シーズン、陣容の充実の割に成績が低迷したのは、アタックの仕掛けがSOルーカスのラン頼りだったからだと思います。彼の突破で相手のディフェンスに綻びをつくらないと次の展開が始まらないような印象のアタックでした。

その点に大きな変化はないような気はしますが、CTBにセンタークラッシュの名手パークスが加わり、新たな選択肢ができそうにも感じるので、アタックが機能しだせば面白くなるチームかなと思います。

 

昇格組のダイナボアーズ

league-one.jp

 

選手の出入りが多いですが、D1の戦いに備えて積極補強を敢行した印象。

長年チームのアタックの要だった、CTBリトルが移籍した影響は小さくないと思いますが、タイプは違うものの新加入のカーティス・ロナも力のある選手なので楽しみな部分です。セブンズ日本代表経験者のカテゴリA、CTBフィシプナ・トゥイアキの働きも期待できるのではないでしょうか。

このチームの海外出身の選手は長く在籍する人が多く、まとまりの良さを感じるチームの一つです。新加入の元ワラビーズ、SOトゥームアあたりの実力者も早くフィットしてきそうな期待が持てます。

新加入の日本人選手もPR知念、FB中井など、他チームでの実績も十分な選手も多いので、いきなり中位以上の成績を残しても特段の驚きはない感じはしています。

 

 

 

 

リーグワン2022-2023 戦力分析②(ヴェルブリッツ、ブルーレヴズ)

続いて昨シーズン5位のトヨタヴェルブリッツと、8位の静岡ブルーレヴズ。

 

まずは、ヴェルブリッツ

league-one.jp


選手の出入りは多いですが、影響があると言えるのは、長らく主戦のSOだったクロニエの移籍でしょうか。
代わりの選手が入っているわけでなく、昨シーズン比較的試合に出ていたファルコンも安定していた印象は乏しいので。

全体的に選手層は厚いチームであるため、10番のところの出来が安定するかどうかが鍵になるかと思います。

全般に選手は揃っているものの、際立ったストロングポイントも感じにくい陣容ではあります。カテゴリAのツイドラキ兄弟、新加入のウィルソンあたりのBK陣がアタックでアクセントになるようだと面白くなりそうな気はします。

 

次にブルーレヴズ。

league-one.jp

 

昨シーズンは、ヤマハ時代から定評のある、チーム戦術が浸透した一体感あるプレーは感じられたものの、パワー不足で上位には歯が立たなかったという印象。カテゴリAで起用できるLOアニセ、CTBファアウリを補強して、ちょっと手は打ってきたという感じは受けます。

ボールを大きく動かす機動力が魅力のチームだとは思いますが、接戦をものにするには失点を全体的に少なくしていく必要があるとも思うので、早く動かすところとあえてテンポを遅らせるところのメリハリが必要なのかなという気はしています。

点は取れるがより取られるという試合が多かったため、粘り強いディフェンスを貫徹できるかどうかが中位以上にいけるかのポイントになるのでしょうね。