トップリーグ2020シーズン展望

トップリーグ(TL)2020シーズンの展望として、各チームの戦力を1チームごとにみていこうと思いますが、その前にリーグ全体の傾向についてまとめておこうと思います。

 

前シーズンの2018-2019シーズンは、外国籍の特別枠選手の同時出場が3名に拡大されたシーズンでした。

外国籍選手の起用については、トップリーグ規約に定義されており、少々長いですが一部を引用します。

35 条〔外国籍選手〕
1.外国籍選手とは、外国籍を持つ選手のうち、日本国以外の国代表歴のある選手(日本代表になる可能性がない選手)を指し、同時出場は 2 名までとする。
2.特別枠選手とは、外国籍であり日本代表の選手及び日本代表になる可能性がある選手を指し、同時出場が 3 名までとする。
3.アジア枠選手とは、アジア・ラグビーフットボール協会加盟国協会の国籍を持ち、且つ、日本協会を含むARFU加盟国協会の代表選手となる資格を有する選手を指し、同時出場は 1 名までとする。但し、南半球、欧州の“トップリーグ(含む 13 人制リーグラグビー)”でプレーした経験のある選手は除く。“トップリーグ(含む 13 人制リーグラグビー)”とはその地域での最上位のリーグを指す。TLC2019 に出場する場合は 5 月末日、TL2020 に出場するには 11 月末日迄にアジア枠選手として登録しなければならない。
4.試合へのエントリー人数(リザーブ選手を含む 23 名)は、外国籍選手(アジア枠選手は含まず)、特別枠選手の合計が 6 名までとする。
また、アジア枠選手及び特別枠選手は、チーム事情により外国籍選手としても試合出場を可能とする。尚、この場合であっても同時出場は外国籍選手の出場枠 2 名、アジア枠選手の出場枠 1 名、特別枠選手の出場枠 3 名は変らないものとする。
※TLC2019 における外国籍選手、特別枠選手、アジア枠選手の出場人数の上限は設けないものとする。

 

長いですね。

ざっくり言うと、外国籍の選手は最大で6名まで同時にプレーすることができます。日本国籍を取得した選手は、外国人出場枠の適用外です。

 

外国籍選手の枠でティア1の代表歴があるようなハイレベルな選手を使えた方が有利なのは言うまでもないですが、筆者の考えでは戦力の差がつきやすいポイントは以下のとおりです。

① 特別枠でSRなどハイレベルなリーグで豊富なキャリアを持つ選手を起用
② アジア枠で各国代表、あるいはアジア国籍を持つ本場育ちの選手を起用
さらにいうと、
日本国籍を取得した海外出身選手を起用

 

②について補足すると、神戸製鋼の張碩煥、クボタの金昊範(韓国)、ヤマハから日野に移籍したクリシュナン(マレーシア)など、あるいはパナソニックのベン・ガンター(タイ、豪)、トヨタのシュネル・シン(インド、NZ)などですが、アジア枠でサイズとパワーのある選手を起用できるとスコッドにぐっと厚みが出ます。

 

前シーズンのファイナルでの神戸製鋼は、スターティングメンバーのうち、海外出身者が8名いました。

(外国籍選手2名、特別枠選手3名、アジア枠1名、国籍取得選手2名)

外国籍選手がダン・カーターとアシュリーークーパーといったNZと豪のレジェンド、特別枠でバリバリのSRクラス、また韓国代表クラス、トンガ出身2名といった布陣で、パワーでサントリーを圧倒しました。

 

今シーズン上位を狙うチームは、この神戸製鋼が基準になっている感があります。

 

また、来シーズン特有の要素として、東京オリンピックの7人制との兼ね合いがあります。

TLに先立つ今年のトップチャレンジでは、セブンス日本代表がいる場合、「特別枠選手を1名に限り」追加できるという特別ルールが適用されています。

www.rugby.or.jp

 

おそらく2020年のTLでも同様のルールが適用されるものと思われ、セブンス日本代表と海外出身選手が等価交換なのかという議論はさておき、試合の趨勢に大きな影響が出そうです。

 

国内出身の選手の奮起も期待したいですが、現実的な問題として、海外出身選手の選手層が厚いか、重要な試合で起用できるかといった要素が、大きく順位に影響しそうな情勢です。

 

≪12月28日追記≫

 7人制に関する特別措置について、トップリーグにおける対応も発表されました。

www.top-league.jp