イタリア代表 VS 日本代表 試合所感

ワールドカップ前の最後のテストマッチ、日本代表とイタリア代表の対戦は、21対42のスコアで日本代表が敗れました。

スコアほどの差ではなかっただろうとは思いますが、日本代表が勝てそうという雰囲気も正直なところ感じられない試合でした。

各選手のプレー内容やプレー選択の端々に、この試合は必勝という重圧をチームとしていかに感じていたかが見て取れた試合だったように思います。
そして、現状のチーム力の限界は選手たちが一番よくわかっているのだろうと。

後半34分ごろのWTBマシレワのタッチキックが伸びすぎたミスは、少しでも敵陣の奥深くに入らないとトライが難しいと感じていたからというギリギリのプレー選択でしょう。
いずれもイタリアのトライにつながった後半37分ごろのCTB中村のチップキックと、後半40分ごろのWTBナイカブラのタップでのパスも、カウンターを食らいやすい軽いプレーではありましたが、どうしてもトライを取りたい状況でリスクのあるプレーを選択せざるを得なかったのだという印象を受けます。
自陣から愚直にボールをつないでいってトライまで至るというイメージが描けなかったのでしょう。
負けたとしてもボーナスポイントを確保したいという試合なのであれば、セーフティにアタックを継続してトライチャンスを探そうとしたのではないかという気がするので、そこを責めるのはさして意味がないように思います。

その不用意な二つの失トライによって結果的に終了直前まで21対28だったスコアがダブルスコアになり、ニュースでしか試合結果を見ない人も多いことを考えると見映えが悪いものになりました。

2023年1月からコンバージョンキックを90秒以内、ペナルティーキックを60秒以内に蹴らなければ無効になる旨、ワールドラグビーがルール改正しました。
李、松田のキッカー二人のキックの精度もかなり厳しいものがあった試合でしたが、国内リーグではキックの残り時間を表示するような対応をしていなかったこともあって、勝利への重圧とともに限られた時間で蹴ることに順応できていない影響もちょっとあるような気がしています。
キックに自信がないから余計に焦るという構図ではないでしょうかね。

この夏のテストマッチのシリーズでは、この試合のジャパンほどの不出来はあまりないものの、焦ったのか大きく的を外したようなキックが他国でもそれなりにあったので、キッカーの技量の差が以前よりも出やすい状況のようには思います。

スクラムやモールディフェンス、基本的なパス回しなどは、国内での試合と比べるとだいぶ改善したように思います。
アタックに関して披露していない隠し玉を期待する向きもあるようですが、スクラムラインアウトからのスペシャルプレーを隠していることはあったとしても、試合終了後の疲労感溢れる選手の表情などを見ていると、現状が目いっぱいのプレーに近いのかなと。

単純な戦力だけでは勝敗は語れませんが、初出場のチリはともかく、イングランド、アルゼンチン、サモアの総合戦力がイタリアに劣ることはないので、現状のチーム成熟度を考えると現実はなかなか厳しいです。

プール戦の展望、大会の展望に関しては近いうちに書きたいと思います。